キャッシュフローから考える自社EC運営のメリットと安定経営の基盤づくり

昨日は自社ECサイトを運営する上で選択肢となるカートシステムの選び方についてポイントをまとめました。
自社ECを運営する「中の人」が考えるECカートシステムの選び方3つのポイント 今回は自社ECサイト運営を経営的な視点から分析していきたいと思います。

突然ですが、あなたはいま自社ECサイトを運営していますか?
運営している、という方に更に質問ですが、なぜ自社ECサイトを運営しているのでしょうか?
恐らくほとんどの方が「売り上げを上げるため」あるいは「利益を稼ぐため」だと思います。

それはその通りだと思いますし、私自身も全くその通りです。

では、自社ECサイトを運営するにあたって経営的に最も重要な要素は何だと思いますか?
この回答に関しては人によって(経営方針によって)異なるかもしれませんね。

「毎月発生する固定費の金額」という方もいらっしゃれば「毎月どれだけ売れるか」という方もいらっしゃるでしょう。
この質問に関する正解・不正解を決めるのはナンセンスだと思いますので、あくまでも私の見解で回答します。

私が自社ECサイト運営にあたって最も重要視するのはキャッシュフロー(資金繰り)です。
もっと具体的には、自社ECサイトの「売上入金サイクル」と言えます。

なぜキャッシュフロー(資金繰り)を重視するのか

前置きとして、ECサイト運営というより経営の基本的な内容になります。

会社が倒産する理由はいくつかありますが、直接的な原因は多くの場合において資金ショートです。つまり会社の口座から現金が無くなることを意味します。
倒産理由が「売上不振」であれ「顧客減少」であれ「取引先倒産による連鎖倒産」であれ、最終的には支払うべきもの(借入金の返済、取引先への買掛金、事務所の家賃、あるいは従業員への給料など)に対しての支払いが出来なくなると会社を継続することは出来ません

いきなり暗い話をしましたが、これは経営の基本中の基本です。私自身、まだ会社経営をして3年程ですので偉そうに言えません。明日は我が身かもしれません。ただ少なくともキャッシュフロー、現金をどれだけ確保しておくかの重要性は経営をしながら痛いほど理解しています。

逆に、会社は赤字でも倒産はしませんし、取引先が減っても顧客が減ってもスタッフが辞めてもすぐには倒産しません。大事なことなので繰り返しますが、現金が無くなった時に倒産します。

キャッシュフローをコントロールできる要素

とはいえ、何でもかんでも自由にキャッシュフローがコントロールできたら苦労しません。

なぜ現金が尽きるようなことが起きるのかといえば、キャッシュフローをコントロールしきれないために発生します。

例えば、ある業者から商品の仕入れをします。業者間取引の場合、「末末」のように月末締め翌月末払いが一般的です。先に商品の納品があり、その月に注文・納品された分の仕入れ代金を翌月に支払います。

納品された商品が仕入れ代金の支払いまでに売れて、なおかつその売上が支払いまでにきちんと口座に入金されれば全く問題ありません。しかしこれは理想的なキャッシュフローであり、多くの場合は仕入れ代金の全額を支払えるほど売れなかったり、あるいは売れたとしても入金が遅ければ支払いに間に合わないこともあるでしょう。

こうした流れを網羅するために、企業は予め自己資金の「持ち出し」があってもいいように資本金を用意したり、金融機関から借り入れをしたり、VCなどから投資を受けたりして資金を確保しておきます。

では、そもそもキャッシュフローを自由にコントロールできれば良いと思われますが、ビジネスをしているとそう上手くは行かないケースもあります。取引先(仕入先)企業の支払いサイト、販売先の支払いサイト、あるいはECモールの支払いサイトなど、それぞれにルールが取り決められています。

分かりやすい例として、自社が商社や小売店等に卸売をする場合、卸先の企業から売り上げの入金があるまでに1~2ヵ月要することは珍しくありません。更に仕入れを海外に委託していると、海外仕入れは全額先払いという取引も珍しくないので、このパターンは相当キャッシュフローが良くないと言えます。とはいえ、ビジネスとしてこの方法を取らざるを得ない企業もたくさんあります。

話をECサイトに戻しますが、自社ECを運営するにあたって、売上がいつ入金されるのかのキャッシュフローは予め検討することが出来ます。
例えばECモールにはなりますが、Amazonは約2週間毎に締め日が来て3~5営業日で入金されます。楽天市場の場合は約20日程度入金までに時間が掛かります。

こうした入金サイクルの設定は最初から決まっているものですので、自らの意志でその点も了承したうえで利用することになります。

どのECモール、ECカートシステムを選ぶにしても、入金サイクルが早ければ早いほど経営的にはメリットとなり、必然的にキャッシュフローが良い選択肢を選ぶべきという判断になります。

いくらたくさん売れても、その入金がいつまで経っても入ってこなければ意味が無いのです。
「売上」はもちろん大事ですが、「入金」されて初めて意味があります。

自社ECなら入金の制約をほぼ受けない

前述したAmazonは確かに入金サイクルは早いと言えるのでキャッシュフローが良いECとなります。
しかしAmazon出店者の方ならご存知の通り、Amazonには下記のようなリスクがあります。

  • 引当金による一部入金保留
  • アカウント停止による入金保留
引当金とはAmazonが独自に設けている売上保留の仕組みで、いわば売掛金です。
一定の売上に対して、返金があった時のために入金の一部が保留されることで、アカウントによってその割合が変わります。引当金が無いというアカウント(出品者)の方もいらっしゃるでしょう。

引当金はやむを得ない部分もありますが、問題はアカウント停止による入金保留です。自社商品を扱っていればあまり考えにくい点ではありますが、万が一アカウントが何らかの問題で停止した際、その期間中に売り上げて入金予定のお金はすべてAmazonに保留されます。つまり売上が入金されないので、経営的にかなりの痛手になります。

こうした入金実行の制約を受けやすいのがAmazonのデメリットですが、自社ECサイトであればこうした制約を受けることはまずありません

Shopifyの入金サイクルは約2週間

私が自社ECサイト運営にShopifyを選択した理由はいくつかりますが、入金サイクルが約2週間という点は大きな判断材料となりました。同じ2週間で言えばAmazonもそうですが、前述の通り引当金で売上が全額入金されない可能性もあります。

厳密にはクレジットカード決済の売上が約2週間となっており、現金決済(コンビニ払い・銀行振込)は月末締め翌月末払いなのでキャッシュフローは良くないです。

とはいえ、割合的にはクレジットカード決済(あるいはAmazon Pay)が多いので、入金サイクルも必然的に2週間おきがベースになります。

先ほども書いたように卸売の場合は入金サイクルが約60日程度というケースも珍しくないので、それに比べて約14日毎に売り上げが入金されればキャッシュフローとしては理想的です。

キャッシュフローが良ければ多少の赤字や売上不振があっても何とか挽回できます。

自社ECを運営するならキャッシュフロー良く

キャッシュフロー(資金繰り)という意味で経営の話が多くなってしまいましたが、自社ECサイトを運営するからには入金サイクル、キャッシュフローに重きを置くことをお勧めします。

というより、自社ECを運営する時点でキャッシュフローが良いことの方が多いので、特に卸売をメインにしているような企業が自社販売に切り替えて利益率の向上やキャッシュフロー改善に舵を切ることも少なくありません。

どのような規模の会社であれ、経営においてキャッシュフローが重要であることは変わりません。
であれば、よりキャッシュフローが良い選択肢として自社ECサイトを運営するというのは賢明な判断です。

自社ECを運営するためにカートシステムを選んだりフルスクラッチで構築するなど選択肢はいくつかります。機能性や使いやすさなども重要です。しかしキャッシュフロー、入金サイクルも同じくらい重要です。いくら機能がたくさんあって、デザインがおしゃれで、使いやすいシステムで売上が好調だったとしても、入金サイクルが遅ければ経営的にはリスクです。

もちろんECモールと違って集客施策や店舗の作り込みなど何かと手間は掛かりますが、その分だけ良い自社ECサイトを築き上げた暁には経営基盤のしっかりした会社経営が可能になります。

もし今、自社商品の売上を卸売業者やECモールだけに依存しており、なおかつそれによってキャッシュフロー(資金繰り)に課題がある事業者さんは、特に経営的な側面からも自社ECの導入を検討してみてもいいかもしれません。

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