IT導入補助金の概要・補助金頼みにならず失敗しないEC構築のポイント

呉 達人

こんにちは。長野県佐久市のShopify Experts認定企業・合同会社FRONTIER TRADE代表の呉(くれ)です。
Shopify新規構築をはじめ、自社EC・Amazon・楽天市場・クラウドファンディングを活用した総合的なEC運営支援に取り組んでいます。

IT導入補助金2022の情報が公開され、申請などが始まっています。

IT導入補助金はその名の通り、ITツールやシステムに特化した補助金。
Shopifyを活用したECサイト構築にも適用され、2年分のShopify使用料まで補助してくれる手厚い内容です。

中でも経費総額が50万円以下の場合、補助率は3/4となっています。
他の補助金と比較しても高い補助率です。
注意点として、対象が新規ドメインでの構築となりますので、リニューアルの場合はドメインを変更する必要があります。

いずれにしても高い補助率となるので、この機会にECサイトを構築・運営・リニューアルしたい場合には活用を検討する価値ある補助金といえます。

そこで今回はIT導入補助金の概要、条件をはじめ、実際に活用する場合のポイントを解説します。

補足

本記事では補助金を使ってITツールを導入したい方を「申請者」。発注先となり導入を行なう事業者を「支援事業者」と表記します。

IT導入補助金とは?

IT導入補助金とは中小企業・小規模事業者等の生産性の向上のため、ITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入する経費の一部を補助する事業のことです。

小規模事業者持続化補助金など様々な補助金の制度がある中で、IT導入補助金はその名の通りITツールの導入に特化した補助金となっています。

補助対象経費

補助金の対象となる経費はソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)です。
具体的なITツールは、弊社のような導入支援事業者が登録して承認を得ているツールに限定され、IT導入補助金の公式サイト内で検索できます。

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

IT導入補助金2022には通常枠(A・B類型)とデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)があります。
後者のデジタル化基盤導入枠は補助対象が会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトに特化しています。

通常枠の補助上限は経費総額の1/2以内。
対して対象ソフトウェアが限定されていることもあり、デジタル化基盤導入枠は経費総額の3/4以内あるいは2/3以内と補助率が高くなっています。

ECサイト構築を行なうShopify導入はデジタル化基盤導入枠に該当するため、通常枠よりも更に恩恵を受けることができます。

※詳細はIT導入補助金2022公式サイトもご確認ください

IT導入補助金の利用方法

導入手順

実際にIT導入補助金を利用する際の大まかな手順は以下の通りです。。

STEP.1
支援事業者・ツール選定
導入したいツールと依頼する支援事業者を選定します。
STEP.2
交付申請要件
申請には「gBizIDプライム」アカウントの取得と「SECURITY ACTION」の実施が必要です。
STEP.3
交付申請準備
申請者・支援事業者の共同作業で申請を進めます。
STEP.4
ITツールの発注・契約・事業実施
交付申請を完了後、交付決定を受けた後に実働開始します。
STEP.5
事業実績報告
実際に補助事業が行われたことを報告します。

※IT導入補助金公式サイトから参照しています
詳しくはこちら

それぞれの手順について補足していきます。

支援事業者・ツール選定

IT導入補助金を利用する際、発注先となる支援事業者とITツールはセットになっています。

例えば弊社の場合、支援事業者として採択されており、ITツールとして「ECサイト制作(Shopify・立ち上げミニマムプラン)」が登録されています。
本プランは構築費として400,000円、その他にShopify使用料2年分が含まれた金額となっています。
Shopifyのベーシックプランを選択した場合、経費総額は50万円以下となるため、補助率は3/4となります。

具体的な対応内容はIT導入補助金ポータルサイトから検索も可能ですが、お気軽にお問い合わせください。

交付申請要件

IT導入補助金の交付を申請する際、必ず「gBizIDプライム」アカウントの取得と「SECURITY ACTION」の実施が必要だそうです。

それぞれ申請者さまでご対応いただく必要がありますので、確認のうえ手続きを済ませてください。

交付申請準備

交付申請の準備と実際の交付に向け、申請者・支援事業者の双方で打ち合わせをしながら進めていきます。

具体的には下記の手順が必要になります。
【】内が対応する側です。

  • 申請マイページより招待を行なう【支援事業者】
  • 招待を受け、基本情報・財務情報などの入力・書類の添付・申請類型を選択【申請者】
  • 導入するITツール情報、事業計画値などを入力【入力作業は支援事業者】
  • 提出・審査(修正)・採択交付決定

交付申請にあたり、まず支援事業者が保有する専用管理画面から申請者を招待します。
招待を受けた申請者は各種情報や書類の添付、そしてどの種類の補助金を使用するかを選択します。

補足

弊社プランを利用する場合はデジタル化基盤導入類型(補助率3/4)となります。

申請者が入力した情報を支援事業者も確認を行い、ITツールの情報や実際に導入した場合の計画などを入力します。
入力作業自体は支援事業者が行ないますが、計画策定にあたり申請者の協力も必要不可欠です。
実務上は双方で話し合いをしながら進めていきます。

一通りの準備が整ったら申請を行ない、審査を待ちます。
修正箇所がある場合は修正対応を行ない、採択・交付決定がされれば正式な発注へと移行します。

詳しい入力手順は公式マニュアルもご覧ください。

ITツールの発注・契約・事業実施

実際に動き始めるのは必ず採択・交付決定された後になります。
この順番を間違えて先に契約などをしてしまうと対象外になるそうなので、ご注意ください。

採択・交付決定をもって正式発注をいただき、契約を交わし、補助事業の実施(Shopify開発環境の作成開始など)となります。

事業実績報告

最終的にECサイトが納品され、支払いまで完了すると、その証明として事業実績報告が必要になります。
2022年4月19日最終更新の公式マニュアルには「事業実施について、実績報告時の提出書類についての詳細は後日公開いたします。」と記載ありますので、具体的な書類は未定のようです。

一般的には見積書・請求書・領収書・検収納品書といった書類が求められますので、恐らくその辺りかと推測されます。

“補助金頼み”のECは失敗しやすい

以上、具体的な申請の流れも含めてご紹介しました。

前述の通り、仮に経費総額50万円以下で構築したECサイトなら実質10万円ちょっとの負担で立ち上げが可能です。
これは導入する事業者にとってかなり負担が少なく、ハードルも下がると言えるでしょう。

とはいえ、補助金頼みで作って終わり、のECになってしまう危険性もあります。
以下は当社の経験も踏まえた失敗しやすい傾向です。

補助金があるから何となく作った

IT導入補助金に限らずですが、補助金は最初の支払いこそ自己資金で賄うものの、後で補助率分の費用が返ってきます。

実質的な自己負担が減るため「何となく」でECサイトやWEBサイトを構築される方も少なくはないでしょう。
WEBサイトは一度作ればある程度おいておいても深刻的な問題にはなりませんが、ECサイトは別物です。

ECサイトのために商品在庫を用意したり、物流の仕組みを考えたり、集客のためのマーケティングを検討するなどECサイトを動かすための施策が必要になります。

いわゆる「作って終わり」のECサイトはかえって会社や商品・ブランドにとってマイナスになる可能性もあります。
文字通り補助金は補助であり、そのあと成長させるのは導入する事業者の責任。
もちろんEC運営に関して不明・不安な点は支援事業者が寄り添って伴走することが可能です。

作ればすぐに売れる

残念ながら自社ECサイトは作っただけでは売れません

昨今では集客力のあるAmazonや楽天市場といったECモールですら、出品しただけでは売れない世界です。

もちろん、立ち上げからすぐに売れるようにする方法はあります。
ただ何もせず立ち上げただけでは売れない、ということです。

そのための準備や施策はEC構築とは別軸で進める必要があります。

支援事業者に丸投げすればOK

支援事業者の中にも得意不得意ありますが、いずれにしても我々に丸投げすれば勝手に売れますよね!という認識も誤りです。

まず支援事業者が構築は得意だけど、その後のマーケティング等に関して知見があるかどうか。
もしあったとしても、やはりEC運営の中心を担うのは構築される申請者自身です。

支援事業者丸投げではなく、むしろ申請者が主体となって運営しなければ失敗してしまう可能性が高いと言えるでしょう。

EC構築・運営で失敗しないポイント

では、実際にEC構築運営で失敗しないポイントを解説します。

減った負担は積極的に投資する

補助金の本質的な役割は、その名の通り「補助」です。
IT導入補助金でいえば、ITツールを導入するための補助。
具体的には、Shopifyを導入して本格的なECサイトをプロに依頼するための「補助」といえます。

通常は数十万円あるいは数百万円かかってもおかしくない本格的なECサイトを負担少なく構築できる。
この点は事業者にとって率直に恩恵があるといえます。

ここで重要なのが、構築に対する負担が減った分、その後の集客や広報活動など、別の分野に積極的に投資すべきということです。
例えば経費総額500,000円なら375,000円は補助対象となります。
つまり実質負担は125,000円となるので、かなり負担は小さくできます。

そこで補助対象となる375,000円は補助が下りた後、広告費などに投下することで立ち上げECサイトの成長につなげることができます

悪い例は、せっかく補助してもらった資金を立ち上げたECに投資しないことです。

作っただけじゃ売れないことを理解する

失敗しやすい傾向で書いたとおり、自社ECサイトは作っただけでは売れません。

ECモールとは違い、集客も自社で行う必要があります。
そういった意味で、まず第一歩として「作っただけじゃ売れない」と理解することが重要です。

精神論のように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。
実際にEC運営でうまくいっている事業者さんの多くがその点を理解しています。
そうすると、自然と集客などに関して意識が向くようになり、積極的な取り組みや投資が発生します。

EC運営は本当に長い道のり。
もっといえば終わりのない道のりです。

いかに立ち上げたECサイトを成長させるか。
そのために取り組むべき施策や打ち手は山ほどあります。

構築後も身近な相談役がいる

昨今のIT導入補助金で私がとても評価しているのはサブスクリプション使用料が最大2年分まで補助対象になっている点です。

中小企業庁担当者の話も聞きましたが、昨今のITツールはShopifyもそうですがサブスクリプションで提供されるものが増えています。
こうした時流を加味して補助金を設計している点、お国の政策としては評価したいところです。

実際にShopify月額利用料も2年分は補助されますので、他に必要な経費に資金を投下できます。

その際、よくあるのが「あとは自分たちでやるから大丈夫」という過信です。
もちろん社内でECに関するノウハウがあったり、専属かそれに近いEC担当者がいる体制なら問題ありません。

とはいえ、現実的にはEC運営の現場は人手不足という事業者様が多い傾向にあります。
EC運営はWEBサイトとも異なるため、例えばHTMLなどの技術があればOKではありません。
むしろShopifyならノーコードでメンテナンスできるので、更新作業などは社内でも可能です。

重要なのは成長させること。
そのためのロードマップに沿った施策の実施と検証の繰り返しこそ「できそうで難しいこと」だと経験上、断言できます。

そういった意味で、構築を依頼したプロに納品後も伴走してもらう、いわば「相談役」が身近にいる事業者さんは成功しやすい傾向にあります。
言い換えれば何でも自社で解決しようとせず、「相談役がいることの重要性」を理解している事業者さんが成功しやすいともいえそうです。

支援事業者によって得意不得意はあるので一概には言えませんが、もし構築した支援事業者がその後のサポートまで可能なら依頼するのがオススメです。

当社の登録済みITツール

最後に、何度か記載している通り弊社はIT導入補助金2022の支援事業者として採択をいただいています。

登録済みITツールとして、Shopifyを活用したECサイトの構築をご提供することが可能です。
構築はもちろんのこと、構築後の運営サポートも可能です。
というより、そちらの方が力を入れていきたい姿勢で取り組んでいます。

IT導入補助金をきっかけにEC事業が成長して、多くのお客様に商品が届くことを願って。
ECの成長は会社や事業の成長にも直結します。

詳しくはお問い合わいただくか、記事の下部にある「Shopify初期構築プラン」の詳細をご覧ください。

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