IT導入補助金2024はECサイト制作が対象外になる方針との発表

呉 達人

こんにちは。長野県佐久市のShopify Experts認定企業・合同会社FRONTIER TRADE代表の呉(くれ)です。
Shopify新規構築をはじめ、自社EC・Amazon・楽天市場・クラウドファンディングを活用した総合的なEC運営支援に取り組んでいます。
最近はEC運営に関するご相談を多数いただいており、企業やストアの成長のお手伝いができることを嬉しく感じています!

今回はEC業界全般に関するお知らせです。
ECサイト制作が補助対象となっており、補助率(補助額)も大きかったIT導入補助金。
弊社でも2022年度、2023年度と支援事業者としてサービス提供してきました。

この度、2023年12月11日に事務局から「重要なお知らせ」として2024年度の概要が発表されました。
結論から記載しますと、ECサイト制作が対象外となるようです。

注意

本記事は2023年12月11日発表時点の内容です。正式発表にて内容が変更になる可能性もございますので予めご了承ください。

IT導入補助金2024の制度概要

2024年2月中旬頃から申請受付を開始するIT導入補助金2024の制度概要が発表されました。
内容を見る限り、全般的に「インボイス制度に対応するためのIT設備投資には積極的に補助する」という意図を感じます。

支援枠の改編について

通常枠、セキュリティ対策推進枠、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)、複数社連携IT導入枠の全4支援枠に改編

ShopifyなどのECカートシステムを利用したECサイト制作が対象だった「デジタル化基盤導入枠」が廃止となったようです。

補助率の拡大について

インボイス枠(インボイス対応類型)では、小規模事業者に対する補助率を一部「4/5」へ拡大

インボイス制度に対応したIT導入に関して積極的な補助を実施することがうかがえます。

制度変更に伴う補助対象ITツールの見直しについて

インボイス枠(インボイス対応類型)においては、インボイス制度に対応した「会計」「受発注」「決済」機能を有するソフトウェアが対象
※インボイス制度に対応していないソフトウェア及びECサイト制作は本類型の対象にはなりません。

そしてEC業界からすれば最も重要なのが、こちらのITツールに関する内容です。
従来は「会計」「受発注」「決済」「EC」機能を有するソフトウェアが対象となっていましたが、ここから「EC」が対象外となってしまいました。
※にも記載があるように、「ECサイト制作は対象にならない」とあるため、インボイス制度の対応有無にかかわらず、ECサイト制作そのものが対象外になったといえます。

補助金目的のECサイトが増加した結果か

弊社としてもIT導入補助金を利用したECサイト制作は対応してきましたので、残念と言えば残念です。

一方で、補助金があるから、という理由でEC構築をしたいという相談も一定数ありました。
以前にも記事や動画でお伝えしてきましたが、補助金はあくまでも補助。
補助金目的でEC構築するのは本末転倒です。

それでも作りたいという方がいらっしゃれば相談は受けてきました。
私はあまりこだわりなく、「使えるなら使ったほうがいい」という考えでした。
確かに、残念ながら構築後にあまり稼働していないストアもあるにはあります。

同業他社が積極的にIT導入補助金を訴求した広告出稿していたのも目にしました。
確かに補助率も高いので通常よりも安くECサイトが構築できるのは間違いありません。
Shopifyを導入すれば上場企業や大企業に引けを取らないネットショップの構築も可能です。

しかし、来年度は対象外になるという決定があった以上、残念ながら本来の趣旨とは異なる利用のされ方をしたのだろうという推測もできます。

コロナも明け二極化が進むEC

私は今回の決定に関して残念に感じる部分もある反面、少しホッとした面もあります。
どうしても補助金目的の相談は依頼者様の対応も雑になっている印象を受けました。
もちろん、丁寧に対応いただき成功した事例もありますが、どうしても「補助金があるから安くできる」といった気持ちのゆるみを感じたのも事実です。

そういった意味で、制度自体が無くなってしまえば対応も無くなりますので、その意味でホッとしています。

EC運営に目を向けると、ますます二極化が進んでいるように感じます。
様々な施策を試行錯誤しながらPDCAを回し続け、グロースしている企業・ストア運営者もいます。
一方で、それこそ補助金を使ってネットショップを作ったけど、結局ほとんど売れずに辞めてしまうケースもあります。

新型コロナウイルスの影響で2020~2022年くらいまではEC・ネットショップに大きな波が来ました。
しかし、その影響がなくなって実店舗やイベントなどが解禁されたいま、再びオフラインへと需要は戻っています。
コロナ禍より以前からEC・ネットショップに取り組んできた企業や、コロナ禍でスタートして「本気で」取り組んできた企業は伸びています。

一方で「その場しのぎ」的な対応しかしてこなかった、あるいはそもそも諦めてしまった企業や事業者は撤退しています。

今回のIT導入補助金2024からECが対象外になったのも、これ以上のECに対する補助は不要と判断されたと考えられます。

成功している企業・ストアはどんどん新たなチャレンジをしています。

これからも二極化は進んでいくと考えられます。
確かにShopifyを活用すれば誰でも大企業なみのストア、ECサイトが運営できます。
一方で、使いこなせずに撤退するケースも珍しくありません。

私たちは少しでも企業やECサイトの成長に貢献できるよう、まさに「地域のかかりつけ医」のような感覚でEC運営に関するご相談を受け付けています。

IT導入補助金が無くなってもやるべきことは変わりません。

今から始めても決して遅くはありません。
後発でも成功できる、グロースできる方法はあります。

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