呉 達人
Shopify新規構築をはじめ、自社EC・Amazon・楽天市場・クラウドファンディングを活用した総合的なEC運営支援に取り組んでいます。
Shopifyに関する書籍はまだまだ少ないですが、最近SNSを中心に話題沸騰の実用書が出版されました。
それが『Shopify運用大全 – 最先端ECサイトを成功に導く81の活用法』です。
複数名の著者による共同執筆となっています。
気になる著者の方々ですが、数あるShopify Experts認定企業の中でも積極的にShopifyやECに関する情報発信を行なっている方々をはじめ、Shopify教育パートナーやShopifyエバンジェリストなど、まさに国内のShopifyを牽引する方々が一堂に会して執筆された文字通り「大全」となる書籍です。
とはいえ、私(弊社)としては同じ業界の皆さんと言えますので、ここで私が忖度しすぎではいけないと考えています。
「忖度なし」「遠慮なし」の客観的視点で書かせていただきます。
目次
個人の感想
まず、私個人としての率直な感想をお伝えします。
ものすごく「役に立った!」とか「全く知らない情報だった!」という内容は、正直申し上げてほとんどありませんでした。
しかし、それは書籍に対する批判ではありません。
私自身、いちShopify Experts認定企業の代表者として日々Shopifyに関する実務を積みながら、様々なご相談をいただいています。
そのためShopifyに関する最新情報をはじめ、お客様にとって必要な情報を追いかけ、お伝えしたり実務に活かしています。
立場上、私がこの書籍をよんで「全然知らないことばかりだった!」という言うわけにはいきません。
あくまでも私個人としては既に頭に入っていること、あるいは実践している内容が多かった、という意味です。
知っていることも「体系化」される価値
私が最も『Shopify運用大全』の価値を感じたのは、たとえ知っていること、経験したことでも、それらの情報が体系化されていることです。
『Shopify運用大全』でそれぞれ著者の方が執筆されている内容、これが著者の方々の100%のアウトプットでは無いことは明確です。
書籍という形式上ページ数や文字数制限が多々あり、「もっと書きたいことはあった」と仰っている著者のツイートもたくさん拝見しました。
そういった意味で書籍として出版されるにあたり、膨大な編集作業が行われたことも容易に想像できます。
そして実際に出版され、Shopifyに関する様々な知識や実例が体系的にまとまっている。
そのことに大きな価値を感じました。
私自身、知っているからといってすぐ出てくるわけではないですし、当然すべてのことを把握しているわけでもありません。
そういった意味で、後でも書きますが手元において何かと困ったときに活用できると強く感じました。
書籍『Shopify運用大全』ご紹介
では、内容のご紹介やオススメポイントなどをまとめていきます。
前提として書籍の内容を書くわけにはいきませんので、抽象的に留めておきます。
Shopifyの基礎~実務をフォロー
『Shopify運用大全』というタイトル通り、Shopifyの基礎から実務面、具体的な管理画面の操作方法など幅広いナレッジ・ノウハウが一冊にまとまっています。
冒頭で複数名の方が執筆されていると記載しましたが、その最たる強みとして著者それぞれの得意分野ごとに章分けされ、執筆されています。
Shopifyを活用したEC構築・EC運営は本当に様々な分野の知識と経験が必要です。
具体的には、プロジェクトのフェーズによって求められる要素が異なります。
例えば構築時なら目に見える要素としてデザイン・導線・キャッチコピーなどを決めたり。
商品在庫管理の方法、マーケティングの準備、お客様へ送るメールの作成など、まさに実店舗を構えるのと同じくらい様々な要素があり、それらを検討しながら決めていきます。
こうした要素をいきなり一人、あるいは少人数でやろうと思っても難しい。
そこで『Shopify運用大全』があれば、「何から始めればいいのかすら分からない」といった状況は解決できると思います。
手元に置いておく「Shopifyの辞書」
私は『Shopify運用大全』を読み終えたとき、パッと頭に浮かんだのが「Shopifyの辞書だな」ということ。
辞書や辞典は購入して一気に最初から最後まで読み込むものでないのが一般的。
それと同じで『Shopify運用大全』も一気にすべてを読み込むのが重要ではなく、手元に置いておき、必要な時に手に取って理解を深める使い方がオススメだと感じました。
そういった意味で、これからECを立ち上げたい方はもちろん、すでに運営してるけど行き詰まっている方、何か新しいアイデアやきっかけが欲しい方にもオススメです。
特にShopifyパートナーに依頼するのを躊躇されている方にはフィットするのではないかと思います。
もちろん本音としてはShopify Expertsやパートナーに依頼いただくのが安心でオススメです。
しかし現実的に予算やリソースの関係上、そこまで出来ないという方も多いと思います。
そういった場合でも書籍一冊の購入であれば、ハードルはほとんど無いかと思います。
サポートサイト
『Shopify運用大全』の読者限定サポートサイトも用意されています。
Shopifyに限らず多くの書籍を読んできましたが、ここまで手厚いサポートは珍しいと感じます。
どうしても書籍では更新できないため情報が古くなってしまいます。
だからこそ、書籍で満足せず新しい情報を惜しみなくアウトプットされる気概を感じます。
著者の多くが情報発信に積極的
サポートサイトの要素と似ていますが、著者の方々はTwitterを中心に積極的な情報発信をされている方ばかりです。
書籍はオフラインで時が止まりますが、それを補うようにオンラインで新しい情報がキャッチできます。
新しい知識や情報を自分から掴みに行くきっかけとして、著者の方々をフォローすることで自分や所属する組織にとってプラスになるでしょう。
まとめ
ShopifyやEC業界に限った話ではありませんが、書籍は「その時点での情報がまとまったもの」なので良くも悪くも変化します。
広辞苑が毎年更新されて出版されているように、書籍をベースにしつつも変化に対応していく時代です。
中でもShopifyは変化が早すぎます(笑)
それを取り巻くEC業界も同様です。
だからこそ『Shopify運用大全』を手元に置いておくと同時に、それぞれの分野で専門性のある著者が執筆を分担している意義が大きいと感じました。
著者の方々は利害関係など一切の垣根を越え、真にShopifyの魅力や可能性、そして実際にできることを伝えています。
内容の良し悪しだけでなく、困った時に相談できる、頼れる人を見つけられる、そんな出会いの書籍なのかもしれません。
私もそうですが、書籍は一度か二度読んだら、だいたいあとは本棚に保管です。
ましてや著者に直接質問したり、直接会う機会もあまりないと思います。
しかし、『Shopify運用大全』ならそれができます。
AKB48が「会えるアイドル」として一世を風靡したように、『Shopify運用大全』の著者たちは「会えるShopify Experts」たちです。
また、前述の通り、足りない要素や最新情報を補足するためにサポートサイトまで用意されています。
書籍の内容だけで評価するには足りない、ShopifyやEC運営の「入り口」としての役割が大きいと感じました。
ぜひShopifyやEC運営に関わる方、興味のある方は読んでみてください。