呉 達人
Shopify新規構築をはじめ、自社EC・Amazon・楽天市場・クラウドファンディングを活用した総合的なEC運営支援に取り組んでいます。
2021年を展望する上で欠かせないのが新型コロナウイルスの状況です。
EC業界でいえば、2020年は否が応でも自社ECの立ち上げやモール販売への展開を強いられた事業者様も多かったと推測されます。
こうした自社ECや自社ブランドの公式オンラインストアを立ち上げるうえで重要な施策となるのがクラウドファンディングの活用です。
いまやクラウドファンディングという名前自体もだいぶ浸透してきた印象です。
特に2020年は新型コロナウイルスの影響で経営や運営が厳しくなった店舗や施設がクラウドファンディングを活用して支援を求めたり、オフラインの展示会やポップアップストア、店舗出店などができなくなったため、新商品のお披露目をクラウドファンディングで行なうといった動きもありました。
いわば「新たなクラウドファンディングの活用方法」も含め、こうした流れは2021年も続いていくことでしょう。
事業者にも消費者にもクラウドファンディングが浸透したことで、事業者にとっては起案しやすく、消費者にとっては支援しやすい土壌はできてきたと考えられます。
目次
クラウドファンディングの基本
クラウドファンディングの活用はその後のブランドや商品の展開において重要です。
やり方次第ではShopifyとの相性も良い傾向にあります。
クラウドファンディング後にShopifyを活用してオンラインストアを立ち上げる、あるいはクラウドファンディング開始前の時点で構築しておき、ティザーサイトの役割でShopifyを活用されているブランドも増えてきています。
そこで今回は過去に10回以上クラウドファンディングを起案している弊社がShopifyとの相乗効果なども交えながらクラウドファンディングの基本についてまとめていきたいと思います。
クラウドファンディングとは?
クラウドファンディングとは「インターネットで不特定多数の人から資金を募ること」を意味します。
最近ではCAMPFIREが草なぎ剛さんを起用してCMを放映していたり、唯一の上場企業であるマクアケもCM放映した時期もありました。
こうしたマスマーケティングによって関心が薄かった一般消費者にも認知が広がったと言えます。
また新型コロナウイルスの影響によって、経営・運営課題を抱えている事業者が支援を求める選択肢としてクラウドファンディングの役割が注目されました。
物販(EC)の主流は購入型
一口にクラウドファンディングと言っても、厳密には下記4つのジャンルに分けることができます。
- 購入型クラウドファンディング
- 寄付型クラウドファンディング
- 投資型クラウドファンディング
- 融資型クラウドファンディング
言葉にすると何となくお分かりいただけるかもしれませんが、大きな違いは「リターンが何か」ということです。
簡単にまとめると下記のようになります
- 購入型=商品・サービス
- 寄付型=リターン無し
- 投資型=配当などによる金銭
- 融資型=利子などによる金銭
寄付型は文字通り寄付を募るクラウドファンディングですので基本的にリターンはありません。
投資型と融資型は資金を出す人が出資者となり、投資した会社が設定する配当や利子など金銭的なリターンを授受できる仕組みで資金調達をします。
一方、購入型はEC(通販)とほぼ同義となります。
設定されるリターンの多くが商品やサービスに関するものであり、直接的に金銭を得ることやリターンが無いといったことは、まずありません。
一般的なEC(通販)と異なるのは、既に販売している既製品をクラウドファンディングとして起案することはできないという点です。
デザイン、機能、目的など・・・
何らかの要素において既製品とは異なる特長や強みが必要になります。
(とはいえ、現実的には似たような商品が起案されているのも事実です。。)
最終的にはプラットフォームの審査が通るかどうか、それ次第にはなります。
クラウドファンディングの市場規模
注目されつつあるクラウドファンディングですが、実際に市場規模は着実に伸びています。
先ほど説明した「購入型」に絞った情報ですが、2017年の市場規模が約77億円だったのに対して2018年は約115億円、2019年は約169億円となっているそうです。
http://safe-crowdfunding.jp/wp-content/uploads/2020/06/CrowdFunding-market-report-20200619.pdf
これは一般社団法人日本クラウドファンディング協会が発表したもので、集計対象のプラットフォームはMakuake、READYFOR、CAMPFIRE(FAAVO含む)、GREEN FUNDING、Motion Gallery、Kibidango、A-portだそうです。
更に2020年は新型コロナウイルスの影響でEC業界も伸びたため、クラウドファンディング市場は更に伸びたことが予想されます。
購入型が強いプラットフォーム3選
いまやクラウドファンディングを運営するプラットフォームは数えきれないほどになりました。
そもそもクラウドファンディングには4つの種類があること、そして中でもある分野に特化したクラウドファンディングのプラットフォームが存在することで裾野が広がっているためです。
では、これだけ多くのプラットフォームがあると「どこで起案するのがいいのか?」と思われるでしょう。
そこで今回は弊社も実際に利用経験がある購入型クラウドファンディングを3つご紹介します。
商品のカテゴリーや目的、自社の戦略によって良し悪しがありますので、特徴なども詳しく解説します。
Makuake
Makuakeは国内クラウドファンディングプラットフォームのリーディングカンパニー的な存在です。
その最大の理由として、国内クラウドファンディングとしては唯一の株式市場上場を果たしています。
ただし、2019年頃からMakuakeのサイト内では「クラウドファンディング」という文言が消えました。
消費者のアクションも「支援」から「応援購入」に変わっています。
2020年12月発売『会社四季報』の企業概要欄からもクラウドファンディングという文言は削除されています。
仕組み自体は確かにクラウドファンディングの定義に該当しますが、「一般市場では販売していない珍しい商品やサービスが集まるECモール」と言えます。
恐らくMakuake自体がクラウドファンディング市場から抜け出し、「Makuake」という独自のプラットフォームを目指しているためと考えられます。
こうした背景もあって「Makuakeはクラウドファンディングなのか?」という議論にもなりそうですが…
ここではクラウドファンディングのプラットフォームという扱いをさせていただきます。
Makuakeの概要
Makuakeは株式会社マクアケが運営するクラウドファンディングプラットフォーム。
幅広いジャンルのプロジェクトが集まるプラットフォームで、起案者・支援者ともに「名前は知っている」という方も多いのではないでしょうか。
プロジェクト単体で総額2憶4,000万円以上を調達した大型案件もありますし、1億円超えのプロジェクトが3件、5,000万円超えは20件以上記録しているようです。(弊社調べ)
サービス立ち上げ当初は飲食店やイベント、映画やアニメなどのアート系などがバランス良く起案されている印象でしたが、ここ最近は購入型クラウドファンディングが増えており、支援額も伸ばしています。
先ほどの1億円超え3件はいずれも商品を提供する購入型で、5,000万円超えも18件となっており、上位プロジェクトは圧倒的に商品提供の購入型クラウドファンディングが占めています。
Makuakeの手数料
Makuakeの手数料は20%となっています。(2021年1月時点)
クラウドファンディング業界の中では相場くらいの手数料と言えます。
ただし、実際にはリターンの特典として販売予定価格から割引を適用することが購入型クラウドファンディングでは一般的なので、その分の割引率も含めると利益率は結構シビアになります。
その他に輸入品であれば海外からの送料や関税が発生し、国産品でも支援者に配送する送料など諸経費も掛かります。
一般販売のプラットフォーム(Amazonや楽天市場など)は10%前後が相場なので、その辺りと比べれば高いと言えます。
Makuakeの特長・強み
Makuakeの最大の強みは知名度と集客力です。
もともとMakuakeの集客力は他のプラットフォームに比べて強い(多い)傾向にありました。
中でもトップページに掲載されるプロジェクトなら少なくとも2,000PV前後はアクセスが集まります。
これは広告宣伝をせずに、Makuakeの自然流入での数字です。
もちろんタイミングや事前準備の有無によって異なりますが、プロジェクト開始直後から多くのアクセスが集まるのはMakuakeの強みです。
また2019年12月に東証マザーズに上場して以降、株価も上昇。
市場から調達した資金を活用して大々的なマスマーケティングやUIの向上などサービスの底上げに充てているものと思われます。
Makuakeで利用できる機能
では、実際にMakuakeでプロジェクトを起案した場合に利用できる機能をご紹介します。
Makuakeアナリティクス
プロジェクトのアクセス解析はMakuake独自のアナリティクスが利用できます。
日別のアクセス数(PV数)や支援数、支援額といった基本的な指標はもちろんですが、どこからの流入なのか、アクセスしたユーザーの性別や地域、職種なども計測されます。
自分でカスタマイズすることは出来ないのでGoogleアナリティクスに比べれば精度は落ちますが、基本的な指標は網羅されているので不便はしません。
活動報告(トップ掲載)
プロジェクトがスタートすると活動報告が利用できるようになります。
活動報告とはMakuakeに限らず一般的にはどのプラットフォームにも実装されている機能です。
支援者や関係者に対してプロジェクトの進捗などを情報共有するための機能。
簡単に言えばクラウドファンディング内のブログのような機能で、Makuakeでは更新するとトップページに掲載されます。
Makuakeは日々多くの起案者がプロジェクトを起案していますので情報量が多く、何もしないとすぐに埋もれてしまいます。
多過ぎるのも煩わしいですが、定期的に活動報告をアップすることで最新情報のシェアやプロジェクトページでは書ききれなかったプロジェクトへの想いなどをアウトプットすることができます。
応援コメント(トップ掲載)
応援コメントとは実際にプロジェクトを支援した支援者が任意で投稿できるコメント機能です。
任意なので投稿する人としない人がいますが、投稿してくれると、こちらもトップページに掲載されます。
プロジェクトページにもストックされていくので、まさに支援者からのリアルなレビューや期待の声となります。
Makuakeのサポート体制
Makuakeでプロジェクトを起案した際に、Makuakeがサポートしてくれる内容をご紹介します。これらは全て保証ではなく、起案者の希望やプロジェクトの支援状況によっても異なります。
基本的には支援額が伸びていればいるほど、Makuakeのサポートも手厚くなる傾向にあります。
メルマガ配信
定期的に発行されるMakuakeのメールマガジン。
これまでの支援者が多く購読しているので、ここで紹介されるとアクセス増に繋がります。
掲載は無料ですが、配信されるかどうかはMakuake内部での取り決めなので保証はありません。
1つの目安ではありますが、支援総額が100万円を超えれば最低1回は配信(掲載)してくれると思われます。
支援が伸びれば伸びるほどメルマガ掲載の頻度も多くなる可能性が高いので、好循環となります。
Facebook広告運用
MakuakeのアカウントでFacebook広告運用代行をしてくれます。
ただし出稿には条件があるようです。実際の内容は問い合わせ頂くのが間違いないですが、弊社が知る限りでは下記の通りです。
- 支援総額が100万円以上達成している
- 出稿条件は掲載期間1週間で予算30万円
出稿したほうがアクセス数が増えるのは間違いありませんが、Makuake本体のアカウントで運用する形になるのでコンバージョン率などの計測はできません。
担当者の方に聞けば教えてもらえるそうですが、それが正確かどうかは不明です。
Makuakeはどうしても顧客との接点や情報の蓄積ができないためプロジェクト単体になりやすい傾向にあります。
そういった意味でShopifyとの相性はイマイチかもしれません。
Instagram投稿
MakuakeオフィシャルInstagramアカウントにてプロジェクトの紹介をしてくれます。
2021年1月時点でフォロワー数4万3,000人を集めているアカウントなので影響力は大きいと言えます。
とはいえ、1投稿あたりの「いいね」数は200前後くらいなので、投稿からどのくらいコンバージョンに繋がるかは不明です。
どちらかと言えば認知度拡大の目的や、Makuakeのオフィシャルアカウントで紹介してもらったという実績作りでの活用と認識するのが良さそうです。
Instagramライブ配信
上記に同じくMakuakeのオフィシャルInstagramアカウントにて、不定期でのライブ配信が行われます。
ライブ配信では実際にスタッフの方がプロジェクトを紹介してくれたり、Makuakeの紹介やイベントなどがあればその紹介をしてくれるそうです。
ここで選ばれるかどうかも、やはりプロジェクトの注目度が重要になると思われるので他の施策と合わせてオプションくらいの感覚でいたほうが良さそうです。
Makuakeに向いている商材・会社
どんな商品・サービスあるいは会社がMakuakeに向いているのか、弊社なりの見解をまとめます。
- 特長:日本初上陸や国内初の新興ブランド
- ジャンル:日用品、アパレル、家電など幅広い
- 単価:数千円~2万円くらいまでが多い傾向
- 起案者:初めてクラウドファンディングを起案する会社(または個人)
前述の通り、Makuakeの強みは知名度と集客力です。
そういった意味では多くの人に受けそうな商材、サービス、価格帯のプロジェクトが伸びやすい傾向にあります。
また、既にある程度の知名度があるブランドの最新モデルだったり、芸能人がプロデュースといった土台があればなお強みとなります。
注意点として、ここ最近はプロジェクト掲載の審査が厳しくなっています。
特に輸入系の商品は初めて国内クラウドファンディングを起案することが絶対条件となります。
他のプラットフォームで起案してしまうと、Makuakeではほぼ確実に起案できないので「日本初上陸」や「国内初公開」といった条件になります。
プロジェクトページでは「日本初上陸」といった表現はエビデンスが取れないため使用できなくなりました。
GREEN FUNDING by T-SITE
GREEN FUNDING by T-SITEは「T-SITE」が付くようにTSUTAYAなどを運営するCCCグループのクラウドファンディングサービスです。
GREEN FUNDINGを運営する株式会社ワンモアは2011年に設立しており、国内クラウドファンディングの中では長い歴史と実績を持っている会社と言えます。
GREEN FUNDINGの概要
購入型クラウドファンディングの中でもイヤホン、スピーカー、PC用品などガジェット系の製品が多く集まる傾向にあります。
また映画やアニメなどのカルチャー系も根強い人気です。
1億円超えのプロジェクトはMakuakeと同じく3件、5,000万円超えは5件ですが、1,000万円超えは30件以上。
中でも物販系のプロジェクトに留まらず、アニメやアートなどのプロジェクトでも1,000万円超えが複数あります。
後述しますが起案者ができる施策の自由度は高いため、打ち手が多ければ多いほど支援が伸びやすくなります。
一方、GREEN FUNDING自体の集客力は弱いため、何もしないと支援がほとんど集まらないことも珍しくありません。
GREEN FUNDINGの手数料
GREEN FUNDINGの手数料は20%となっています。(2021年1月時点)
ただし他のプラットフォームと異なるのは、GREEN FUNDINGはフランチャイズ制を採用しています。
フランチャイズに加盟すると手数料が15%前後になります。
だいぶ手元に残る金額は変わりますので経営的には大きな要素と言えます。
もしラインナップが豊富で何度も起案できるメーカーや、コミュニティなどで複数人が起案できる場合は有利になります。
GREEN FUNDINGの特長・強み
GREEN FUNDINGの強みはFacebook広告の運用力と支援者のリピート力です。
一言で言って熱狂的なGREEN FUNDINGのファンが多くいるのが特長と言えます。
もちろんクラウドファンディングに初めて支援するという方も多くいらっしゃいますが、比較的、収入や生活に余裕がある層が一定数ファンになっている印象です。
実際に単価が数万円するような商品でもGREEN FUNDINGであれば割と売れる傾向にあります。
Makuakeでは余程ハイスペックなガジェット系商品などでなければ高単価商品は売れづらい傾向です。
GREEN FUNDINGで利用できる機能
実際にGREEN FUNDINGでプロジェクトを起案した場合に利用できる機能をご紹介します。
Googleアナリティクスとコンバージョンタグ
GREEN FUNDINGではプロジェクトページに自社発行のGoogleアナリティクスタグを設定することが可能です。
つまり普段からGoogleアナリティクスでアクセス解析をしている会社や個人であれば、同じ感覚でプロジェクトページの分析が可能になります。これは他のプラットフォームでも提供していないサービスであり、GREEN FUNDINGの寛容性が分かるありがたい機能です。
また、GREEN FUNDINGではコンバージョンタグも設定可能です。これはハッキリ言って物凄い強みです!!
後述するFacebook広告の運用結果はもちろん、各種施策の結果がダイレクトに数字として計測・分析可能です。
Googleアナリティクスやコンバージョンタグなどは少しテクニカルな要素もあるのでWEB関連に明るくない場合は魅力を感じないかもしれませんが、多少分かる方であれば、これがどれだけ重要かお分かりいただけるでしょう。
この辺りを開放しているGREEN FUNDINGは起案者の自主性や主体性に重きを置いているとも言えます。
自社でガンガン進めていきたい起案者にはピッタリのプラットフォームです。
もちろん、プロジェクト期間中の施策が蓄積されればShopifyで運営する自社ECにも相性が良いのも強みです。
そういった意味でShopifyとの相性も良いと考えていいでしょう。
活動報告(メール送信)
活動報告はGREEN FUNDINGでも利用できます。
投稿すると支援者にはメールで通知が行くので、特にプロジェクト終了後の進捗報告に活用できます。
支援者コメント
支援者から応援コメントが入ると掲載されます。こちらも更なる集客を呼ぶというよりはお客様の声として受け取るのが主な役割となります。
プロジェクトが終了して公式サイトや公式SNSなどを運営する場合、まさに「お客様の声」として掲載できるのもメリットです。
GREEN FUNDINGのサポート
GREEN FUNDINGでプロジェクトを起案した際にGREEN FUNDINGがサポートしてくれる内容をご紹介します。これらは全て保証ではなく、起案者の希望やプロジェクトの支援状況によっても異なります。
Facebook広告運用
GREEN FUNDINGでの主な集客の1つとしてFacebook広告の運用は欠かせない存在です。
GREEN FUNDINGのFacebook広告運用はMakuakeのように期間や予算に決まりはありません。あまりに少額過ぎるのはFacebook広告のアルゴリズム的にも良くないので推奨されていませんが、数万円規模で広告運用を実施してくれます。
写真や動画などを素材を提供すれば広告のクリエイティブも作成してくれますし、予算も例えば「支援額の10%くらい」といったリクエストに応じて運用してくれます。まさに起案者と二人三脚でプロジェクトをサポートしてくれるのがGREEN FUNDINGの特長であり強みです。
実際にFacebook広告からのコンバージョンも多く、知り合いの起案者で上手く行った事例としてはCPA1,000円前後で回ったという実績もありました。これだけ成果が上がるFacebook広告はなかなか無いですが、それを支えているのがGREEN FUNDINGが持っているFacebookピクセルだと考えています。
Facebookピクセルは運用すればするほどデータが蓄積されていき、最適化が図られます。これまでGREEN FUNDINGで起案してきた膨大なプロジェクトのデータが蓄積され最適化されていますので、そのデータをいきなり活用できるのです。
そのためか、実績が上がっているガジェット系商品はその後も他のプロジェクトで支援が伸びる傾向にあります。これはGREEN FUNDINGで支援する人の多くがガジェット系商品に興味関心がある、というデータが出ているからかもしれません。
こうした、これまでの実績や支援者層を蓄積して活かしているのがGREEN FUNDINGの特長です。
メルマガ・LINE配信
上記Facebook広告の強みでご理解頂けたかもしれませんが、GREEN FUNDINGが保有する支援者リストに向けてのメルマガ配信やLINE配信もコンバージョンに繋がりやすい強力なツールです。
メルマガは最低1回は掲載され、支援の伸びによって更に配信されるケースもあります。LINE配信は必ずではありませんが、ある程度の支援額を集めていれば掲載枠を確保してもらうことが可能です。
前述の通り熱心なファンが多いGREEN FUNDINGですから、こうしたメルマガやLINEの配信によるコンバージョン率が高いのも強みです。
Engadget記事掲載
2019年からガジェット系メディアのEngadgetと提携し、プロジェクトが紹介されるようになりました。
そのためガジェット系商品は相性が良いので支援が伸びる傾向にあります。
もちろんガジェット系以外にも商品に魅力があれば支援は伸びます。
「面白いもの好き」な層に刺さる商品であればあるほど、GREEN FUNDINGの支援者層に刺さりやすい傾向にあります。
YouTubeレビュー動画
YouTubeでのレビュー動画もサービスとして提供を開始しています。
クラウドファンディングで支援を伸ばす施策の1つとして人気ユーチューバーやインフルエンサーに商品を提供、あるいは貸し出しをして紹介してもらう方法があります。相性の良い紹介者であればその投稿をきっかけに支援が伸びることも多々あります。
とはいえ、こうした施策には紹介料のフィーが必要になったり、「やらせ」が疑われることも少なくないですが、クラウドファンディングを運営するプラットフォームが自ら紹介してくれればより説得力が増します。
また、クラウドファンディングの商品は基本的にまだ完成していない場合が多いので、サンプルでも実物を動画(映像)として訴求できるのは支援者にとっても商品を確認する選択肢が増えるので良い施策といえます。
GREEN FUNDINGに向いている商材・会社
既にいくつかGREEN FUNDINGに向いている要素を書きましたが、改めて下記にまとまます。
- 特長:高機能・珍しい・面白い商品が高相性
- ジャンル:イヤホン、スピーカー、PC周辺機器などガジェット系が強い
- 単価:1万円前後~高単価でも高相性・低単価は非推奨
- 起案者:自社でも積極的に施策が打てる
プラットフォーム任せにせず、自社でも積極的に外部施策や販促ができると高相性です。
また、商材によってFacebook広告運用がハマれば物凄い低CPAで成果を上げることも可能です。
こうしたマーケティング周りも含めて戦略的にプロジェクトを進めたい人や、相性の良い商品を持っている人にお勧めです。
machi-ya by CAMPFIRE
machi-yaは「CAMPFIRE」と付くようにクラウドファンディング大手CAMPFIREのコンテンツとして利用できるクラウドファンディングプラットフォーム。
もともとは株式会社メディアジーンと株式会社新東通信が2015年6月に立ち上げたクラウドファンディングですが、2019年1月よりCAMPFIREでの運営を開始しました。
CAMPFIREは国内クラウドファンディングの中でも良く知られていると思いますが、machi-yaは後発です。その両者が手を組んで運営し始めたのが去年からということで、これから特に購入型クラウドファンディングの中では注目のプラットフォームになっていくでしょう。
machi-yaの概要
machi-yaは商品を提供する購入型クラウドファンディングが中心となっているプラットフォームです。
CAMPFIRE自体は購入型に限らずイベント、店舗、カルチャーといったサービス系プロジェクトが多く、支援も伸びる傾向にあります。
ホリエモンやお笑い芸人キングコング西野亮廣氏のプロジェクトなど、芸能人や著名人がクラウドファンディングする際に利用するプラットフォームとしても認知されています。
それに比べるとmachi-yaは後発なので、まだ大型案件は少なく、2017~2018年辺りは100万円くらいがチラホラという感じでした。
しかし、ここ最近は100万円超えは当たり前のようになり、1,000万円超えやそれに迫るプロジェクトも増えてきました。
machi-yaの手数料
machi-yaの手数料は25%となっています。(2021年1月時点)
内訳はmachi-ya本体の手数料が20%・決済手数料5%だそうです。
他のプラットフォームに比べて高いのは事実ですが、それなりの理由もあるので後述します。
machi-yaの特長・強み
machi-yaの最大の強みは同じ会社内で運営するGIZMODEやlifehackerへの記事掲載で間違いないでしょう。
クラウドファンディングを起案するような商品やサービスは認知度の低い場合が多いです。そうした商品やサービスを広げるために広告を出稿したり、これまで紹介したMakuakeやGREEN FUNDING経由で紹介してもらうことも大きいですが、GIZMODEやlifehackerといった「クラウドファンディングとは違ったステージ」で取り上げてもらえることは大きな強みになります。
意外かもしれませんが、テレビや雑誌、WEBメディアなどで取り上げられたからと言って必ず支援が伸びるとは限りません。
確かに何も無いより確実に認知はされますが、それが直接支援に繋がるかと言えば、それは別なのです。
しかしGIZMODEやlifehackerは国内でも屈指の大規模メディアであること、そしてその読者層もクラウドファンディングに対して敏感だからこそ、machi-yaのプロジェクトが掲載されると直接支援に繋がりやすい傾向にあります。
まさに親和性がなせる施策であり、machi-yaの強みと言えます。
本来、GIZMODEなどに掲載してもらおうと思ったら多額の掲載費が掛かりますし、そもそも掲載してもらえることも簡単ではありません。
こうした独自のサービスがあるからこそ手数料はやや高めですが、納得して利用できるプラットフォームと言えます。
machi-yaで利用できる機能
実際にmachi-yaでプロジェクトを起案した場合に利用できる機能をご紹介します。
Facebookピクセル
プロジェクトの掲載はmachi-yaですが、管理画面はCAMPFIREと同様なのでFacebookピクセルの設定が可能です。
これによってコンバージョンの計測や類似オーディエンスするためのデータ蓄積が可能になります。
今後Shopifyを活用していくうえでも重要な要素です。
machi-yaアナリティクス
アクセス解析機能はPV数やユーザー属性といった基本的な項目が分析できます。
こちらも管理画面はCAMPFIREと同様です。
活動報告(メール送信)
活動報告も用意されています。詳細はMakuakeやGREEN FUNDINGで紹介しているので割愛します。
支援者コメント
支援者コメントも用意されています。詳細はMakuakeやGREEN FUNDINGで紹介しているので割愛します。
machi-yaのサポート
machi-yaでプロジェクトを起案した際にmachi-yaがサポートしてくれる内容をご紹介します。これらは全て保証ではなく、起案者の希望やプロジェクトの支援状況によっても異なります。
メルマガ配信
machi-yaも定期的にプロジェクトを紹介するメルマガ配信を行なっています。
最低1回は掲載され、あとは支援の状況に応じてとなります。支援を伸ばせば伸ばすほど、その実績が新たな支援者を呼ぶというのは全てのプラットフォームに共通していると言えますね。
GIZMODE・lifehacker記事掲載
強みの部分で書いた通り、GIZMODEやlifehackerにプロジェクトの紹介記事が掲載されます。
プロジェクト開始後と終了前の2回はほぼ保証されており、あとはサンプルの有無や支援状況などによって変わります。
もしサンプルが手元にあれば絶対に提供しましょう。いわゆる「使ってみた」系のレビュー記事を書いてアップしてくれます。これがmachi-yaで起案する上で肝と言えます。
流石、国内屈指のメディアを運営しているだけあり、ライティングや商品の見せ方などは素晴らしいものがあります。前述の通り手数料は他に比べて高いですが、その分だけ「手数料」という文字通り手間も掛かっているので、納得できるサポートと言えます。
その他に広告を出稿する場合は自社で運用することになりますので、記事掲載とメルマガ配信がmachi-yaでの主なサポート施策となります。
machi-yaに向いている商材・会社
- 特長:他で終了後、2度目の起案が可能
- ジャンル:イヤホン、スピーカー、PC周辺機器などのいわゆる「ガジェット系」
- 単価:数千円~数万円まで幅広い
- 起案者:GIZMODEやlifehackerに掲載して実績にしたい
強みがGIZMODEやlifehackerへの記事掲載なので、必然的にその読者層との相性が良ければ良いほど支援が伸びます。
また、MakuakeやGREEN FUNDINGで一度起案済みの商品を起案できるのも特徴と言えます。
machi-yaはMakuakeやGREEN FUNDINGに比べて新規性という意味ではそこまで厳しくないためです。
そのため、例えばMakuakeで起案したプロジェクトが終了後、machi-yaで同じ商品やブランドを起案することは可能です。
Makuakeは他のプラットフォームで起案した案件はほぼ確実にNGとなるので、そういった意味で寛容性があるプラットフォームと言えます。
つまりガジェット系商品ならGREEN FUNDING→machi-yaという順番で起案すればかなり相性が良いと言えます。
クラウドファンディング→Shopifyが王道になり得る
これから自社商品や自社ブランドを育てていくにあたり、クラウドファンディングからのShopifyによるEC構築・運営をするという流れが王道になり得ると考えています。
クラウドファンディングの最大のメリットはテストマーケティングできること。
もっと簡単にいえば予約販売に近い形でリスクを抑えながら新商品を市場に提案できることです。
そして自社ストアやブランド公式ストアをShopifyで立ち上げることによって、様々施策を自由に実行できます。
また、事業規模によってはShopifyを活用して「自社クラファン」の仕組みを作り、プラットフォームに頼らず完全に自立することも可能です。
重要なことはクラウドファンディングだけで終わらず、しっかりとその後の販路も確立して販売を継続していくことです。
その選択肢の一つとしてShopifyを活用した自社ECがあります。
逆に言えば、その他の選択肢も疎かにしてはいけないことも意味します。
いずれにしてもクラウドファンディングを起案後、Shopifyでストア構築・運営する流れは1つの主流になるでしょう。