【顧客との関係構築=資産構築】Shopifyの立ち上げから運営まで設定必須サービス・ツールまとめ

呉 達人

こんにちは。長野県佐久市のShopify Experts認定企業・合同会社FRONTIER TRADE代表の呉(くれ)です。
Shopify新規構築をはじめ、自社EC・Amazon・楽天市場・クラウドファンディングを活用した総合的なEC運営支援に取り組んでいます。

Shopifyは自社商品のブランディングやマーケティングを自由にできる優れたECプラットフォームです。
規模感やフェーズに合わせてカスタマイズでき、顧客と長期的な関係構築が可能です。

顧客との関係構築=資産構築と言っても過言ではありません。
いくらたくさんの人を集客しても「その場限り」では非常に勿体ない。もっと言えば短期的には良くても中長期的に考えると持続性に欠けます。

Amazonや楽天市場といったECモールはその知名度と膨大な金額の広告費を活かした集客力が魅力。一方で顧客情報は配送に必要な部分だけであって関係構築はしづらい(ほぼできない)のが弱点です。

どちらが良い悪いではなく、どちらの特性も把握したうえで上手く活用していきたいものです。

Shopifyでストア運営するのであれば、先ほども書いたように顧客と中長期的な関係を構築し、商品・サービスを提供し続けることが重要です。

そこで今回は顧客との関係構築に必要なサービス・ツールをご紹介します!
Shopifyでストアを立ち上げるとき、そして実際に運営を始めたときに活用ください!

予め設定しておくことで効果を発揮

まず前提として、ここで紹介するツールやサービスは設定すればすぐ効果を発揮するものではありません
顧客との関係構築するには段階があります。

いわゆるAISAS(アイサス)の法則AIDMA(アイドマ)の法則です。
また最近ではネット上、特にSNSでの口コミから商品購入に繋がることがスタンダードになってきているのでULSSAS(ウルサス)という考え方も広まっています。

どの考え方を採用するかはブランドにもよりますが、いずれにしても効果測定が必要です。
WEBの強みは購入者に限らず見込み顧客もデータとして蓄積できること。更にそのデータを活用してより確度の高い顧客にアプローチできることです。

こうした計測やデータ蓄積するためのサービス・ツールだとお考えください。
そのため、立ち上げ時に設定しておくことで後は自動的に計測・データ蓄積が進みます。これを忘れてしまうとせっかく集客した顧客をみすみす逃してしまうことになりかねません。

大事なことなので先に書かせていただきました!

顧客との関係構築に必要なサービス・ツール

ではそれぞれのフェーズごとにみていきましょう。

Googleアナリティクス

AISAS、AIDMAのどの過程においてもストアに訪問した顧客を計測・分析するための王道ツールです。
Shopifyの標準レポート、特に月額79ドル以上のプランであれば様々な分析は可能ですが、Googleアナリティクスは分析に特化したツールなのでより細かな分析ができます。

分析を外部委託する場合もアカウント共有がしやすいので設定しましょう。
通常の計測タグ設定はもちろん、Eコマーストラッキングを使うことでShopifyの売り上げや販売した商品情報も連携できるのでオススメです。

※黒塗りばかりで恐縮です…

ShopifyはGoogleアナリティクスの設置が標準でサポートされています。
アナリティクスのアカウントを作ったらトラッキングIDを入れるだけで設定が完了します!

Google広告(オーディエンス・コンバージョン作成)

ストアに集客するための広告施策として使いやすいGoogle広告も設定をしましょう。
仮にGoogle広告をすぐに出稿する予定が無かったとしても、アカウントを作成するのであれば必須の設定です。

具体的にはオーディエンスリストの作成とコンバージョンの作成です。

オーディエンスリストの作成

Google広告のオーディエンスリストとは、例えば「サイトに訪問した人のリスト」といったデータ蓄積と広告運用に活用できます。

Google広告管理画面の「ツールと設定」から「オーディエンスマネージャー」を開きます。

まずはデータ蓄積のベースとなる「オーディエンスソース」でGoogle広告とShopifyを連携します。

※この画面は設定済み表記なので未設定の場合は下部の選択肢から選びます

連携はGoogle広告専用タグを使用します。Shopifyのヘッダー内に追記すれば設置完了です。

あとは「オーディエンスリスト」でどんなリストを蓄積したいかを作成します。

いわゆる「リターゲティング広告」はサイトを訪れた顧客へ配信する広告ですので、リターゲティング広告のためのリストとも言えますね。
他にも特定のページを指定して、そこにアクセスした人、あるいは除外してそれ以外の人、といった細かい分岐も可能です。

コンバージョン作成

同じような要領でコンバージョンも作成ましょう。
「ツールと設定」から「コンバージョン」を選択します。

コンバージョンの内容について設定していきます。

中でも重要なのが「何をもってコンバージョンとするか」です。
一般的には「コンバージョン=購入・成約」ですが、ここでのコンバージョンは広告を最適化するための設定です。

例えばブランド展開初期フェーズで、すぐには売り上げが立ちそうもない場合は「購入」よりもその前段階の「カートに追加」をコンバージョンにすると広告最適化しやすくなります。

つまり購入までいかなくてもカートに追加されればコンバージョンとして計測されます。しばらくそれを蓄積し続け、ある程度リストがたまってくると広告配信の精度が上がっていきます。

オーディエンスリストもコンバージョンも事前に設置しておくことでデータ蓄積できますので必ず設定しましょう。

Facebookピクセル

FacebookピクセルはFacebook広告を配信・運用する際に重要なトラッキングコードです。
先ほど紹介したGoogle広告のオーディエンスリスト・コンバージョンと同じようなイメージなので、こちらも必ず設定しましょう。

補足

Facebook広告を配信する予定はないけど設定したほうがいいですか?という質問をいただくことがあります。Google広告でも書いた通り、データ蓄積さえしておけば後から活用できるので現時点で広告出稿予定がなくても設定しておくのがオススメです。

Facebookピクセルの作成

Facebookのビジネスツールから「イベントマネージャー」を開きます。
プラスボタンから「新しいデータソースをリンクする」を選択。

リンク方法としてFacebookピクセルを選択します。

ShopifyだとFacebookピクセルの導入が標準サポートされているのでストアのURLを入力するだけで自動的に設定が完了します!

コンバージョンの作成

Google広告と同じようにFacebookピクセルでも任意のコンバージョンを作成できます。
コンバージョンを作成することで、設定したコンバージョンの広告配信が可能です。

先ほどのように「何をもってコンバージョンとするか」を設定しましょう。

特にFacebook広告の場合は「週50件以上コンバージョンを計測すると最適化する」というロジックが公表されています。つまり週に50件以上販売できる商品ならよいですが、高単価などで販売数が伸ばしづらい場合は「カートに追加」や「コンテンツビュー」をコンバージョンにするなど購入の前段階にした方が最適化しやすくなります。

SNS運営

SNS運営はULSSAS(ウルサス)において欠かせない重要な要素です。

DMやコメントなど、顧客と直接接触する機会もある場所。
ここではSNS運営で重要なポイントだけピックアップします。

媒体は厳選する

SNS運営と言えば「Facebook・Instagram・Twitterは一通りやらなければならない」と考えがちです。
もちろんどの媒体もまんべんなくできれば理想的ですが、リソース的に難しいストアも多いでしょう。
弊社も以前は多くの媒体をやらねば、という認識でした。

しかし実際にはアクティブな1媒体があれば売り上げUPや顧客とのコミュニケーション、そして口コミの拡散などが十分に可能です。
中でもInstagramは写真から直接Shopifyのストアへ購入導線が引けるので売り上げに直結します。

拡散性を狙うならTwitterが有効。
Facebookは広告を運用するためにアカウント作成する必要はありますが、相性が良くなければ運営自体はしない、という選択もアリです。

あれもこれもと手を出すより、1つでもいいのでアクティブな媒体があればそこに集約することで十分ストアに貢献してくれるでしょう。

フォロワー数に依存しない

SNSといえば何かとフォロワー数が話題になりがちです。
誰にもがパッと見て分かる数字なので無理もありません。

しかし昨今ではInstagramが投稿に対する「いいね」の数を非表示にするなど「数だけで評価される文化」は淘汰されつつあります
一時期はフォロワーを意図的に買う違反行為が横行しており、現在も残ってはいますがいずれは淘汰されるでしょう。

重要なことは濃いフォロワーとの接触です。数が多くても何の反応もしないフォロワーは不要です。
地道に活動すればテレビやYouTubeなど影響力あるメディアで紹介されることで一気に伸びる可能性もあります。

数ではなく質を意識して目の前の顧客にアプローチしましょう。

反応があれば即レス

SNSでは顧客とのコミュニケーションが取れます。
中でもコメント・引用リツイート(Twitter)・DMの3種類は単なる「いいね」とは異なる、もう一歩踏み込んだ反応と言えます。

よほど的外れな内容でない限り、なるべく早くこちらも反応するのが理想的です。

特に肯定的な内容より、否定的な内容の方が即レスするのがオススメ
否定的な内容は来てほしくないですが、どうしても避けられません。その際、事実と異なることやコメント主の勘違いなどストアに非が無い場合は冷静かつ的確に対処すべきです。

一事が万事ではありませんが、一度そういった対応をしておけば否定的な内容は減っていく傾向にあります。

もちろんストア側に非があれば率直に受け止め、改善できるように努力しましょう。

気持ち的に落ち込むこともありますが、むしろストアに対する指摘はありがたいものと考えて取り組めるといいでしょう(偉そうに言っていますが自戒の念を込めて)。

リアルタイムフォロー(Shopify)

ここからはShopifyでの対応です。

リアルタイムフォローとは私が勝手に付けた言葉ですが、要はストアを訪問した顧客をその場でフォローする仕組みです。

具体的に2つ紹介します。

Lucky Orange

Lucky Orangeは以前にも紹介した分析アプリです。
ヒートマップ分析やモニタリング分析が可能ですが、現在アクセスしているリアルタイムの顧客に対してチャットを開始することができます。

いわば実店舗と同じような、オンラインでのリアルタイム接客です。
顧客によっては抵抗がある場合も多いので導入は慎重にすべきですが、もしリソースを割けるのであれば「当店では〇時~〇時の間、リアルタイムでの接客が可能です」といった訴求が可能です。

Abandoned Cart Recovery

Abandoned Cart Recoveryは後ほど紹介するカート落ち(かご落ち)対策に活用できるShopifyアプリです。

しかしそれだけでなく、しばらくストアに滞在している顧客に対してポップアップを表示する機能もあります。
例えば5%OFFクーポンを表示するようにして「いますぐ購入すれば利用できます」といった訴求ができます。

あまり割引率を上る過ぎると「そもそもの定価は何なんだ!」とマイナスですが5~10%OFF程度であればよいのではないでしょうか。

リアルタイムで訪問している顧客に対する一押し、「今買うとお得ですよ!」という施策になります。

カート落ち対策(Shopify)

ストアを訪れた顧客がカートに商品を入れ、そのまま離脱することを「カート落ち・かご落ち」といいます。
※ここでは「カート落ち」で統一します

カート落ち対策としてカートに商品が残っている顧客に対してメールを送信することができます。
Shopify標準機能でも実装されていますが、先ほど紹介した「Abandoned Cart Recovery」を使うと手軽にメールの内容やデザインをカスタマイズできるのでオススメです。

単なる再通知も可能ですし、専用クーポンを発行してお得感を出すのもよいでしょう。

初期設定さえしてしまえば後は条件に合致した顧客へ自動送信されるので最初のうちに設定しておきましょう。

顧客管理・メール配信(Shopify)

メルマガ配信は顧客との関係性を構築する上で重要な施策です。

従来はメルマガ配信専用システム(メルマガスタンド)を利用するのが一般的でした。海外製ですが「MailChimp」は有名です。

しかし今年からはShopifyから「Shopifyメール」が配信できるようなりました。
これによって顧客管理とメール配信がShopifyで一元管理できるので便利です。

顧客リストはまさにストアや会社にとっての資産とも言えます。
ストアによっては新商品の発売開始や入荷のお知らせを1通配信するだけで何十万円、何百万円といった売り上げになることも珍しくありません。

また管理する顧客情報(メールアドレス)はストアでの購入者、あるいは自らの意志でメルマガ登録をした人など何らかの関係性がある人達です。

丁寧に対応して売り上げ拡大、信頼の構築に活用しましょう。

アフターフォロー(LINE)

主にアフターフォロー、あるいは事前の質問に対するフォローとしてはLINEの活用がオススメです。

日本では多くの人がLINEを利用しており、なおかつ手軽に連絡が取れるので顧客からすると重宝します。

確かにLINEを導入すると個別対応が必要になるのでリソースは必要になりますが、その対応によって購入を決断してくれたり、あるいは信頼構築に繋がると考えれば代えがたいものです。

「よくある質問」のように予めテンプレート化できる内容であればストアに掲載したり、チャットボットとLINEを連携してスクリプト化することも可能です。

顧客・ストア双方にとって簡単にすばやく対応できるので、購入後の問い合わせが増加しているストアは導入を検討してもいいのではないでしょうか。

こちらから配信しないにしても、ストア(またはブランド)公式LINEがあるだけで顧客との接点ができるのでオススメです。

各サービス・ツールの役割まとめ

最後に今回ご紹介したサービス・ツールがどのような役割を担うのかを改めて表にまとめました。

繰り返しになりますが、ここでご紹介した内容の多くは最初に設定してしまえば、あとは自動的にデータ蓄積したり、対応してくれる優秀なサービス・ツールばかりです。

SNS運営など手動でやるべきこともありますが、それらに注力するためにも自動化できることは自動化して、後から活用できるように準備しておけばストアの成長材料になります。

ぜひ活用してみてください!

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