2020年5月1日より小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>の申請受付開始

新型コロナウイルス関連の事業者支援として目玉政策と言えるのが持続化給付金。
前年比で売上50%以上減少した企業・個人事業主に対して最大200万円(個人事業主は100万円)給付される支援策。
融資や補助金と異なり純粋に貰えるお金ですので対象になっている企業や個人事業主は活用しない手はありません。

一方、そこまで売上は減少していない、あるいはむしろ増加しているといった企業があるのも事実です。
そうした企業も活用できる補助金の最新情報が発表されました。

中小機構(中小企業基盤整備機構)は4月28日に令和2年度補正予算「小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>」の公募要領を公開しました。申請受付は明日の5月1日から。

新型コロナウイルスの影響によって補助対象経費が最大100万円となっています。
対象としては主に「サプライチェーンの毀損への対応」「非対面型ビジネスモデルへの転換」「テレワーク環境の整備」の3点。
特に「非対面型ビジネスモデルへの転換」は言い換えるとECサイト構築費の経費が補助されるという意味合いになります。

詳細を見ていきましょう。

小規模事業者持続化補助金とは?

日本国内には多くの補助金が用意されています。

小規模事業者持続化補助金は毎年、日本商工会議所が取り仕切っている補助金です。
政府が決定する予算によって予算総額は変わりますが、毎年コンスタントに発表されており、採択されれば関連事業で使った経費の一部が後から補助される仕組みです。

先に申請した通りの経費を使う必要があるので融資や出資とは異なりますが、「どうせ使うお金」が後から返ってくると考えればありがたい制度です。

とはいえ、「誰でも貰えるお金」ではありません。むしろ採択されるのが大変なのも事実です。
書類を正確に提出することはもちろん、「本当にこの企業に対して必要なお金なのか?」がかなりシビアに審査されます。
予算の枠によって採択される企業の枠も増減しますので、どのくらいの事業規模(予算規模)なのかも重要です。

まずは自社が対象になるのかどうか、そして具体的にどのような事業内容(経費)に対して補助されるのか理解する必要があります。

令和2年度補正予算「小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>」

今回は令和2年度の補正予算が組まれ、更にコロナ特別対応型という特例的な補助金のようです。
管轄は日本商工会議所ではなく、独立行政法人中小企業基盤整備機構です。

その概要を整理しました。

公募期間

  • 公募開始:2020年4月28日(火)18時
  • 申請受付:2020年5月1日(金)予定
  • 第1回受付締切:2020年5月15日(金)【郵送必着】
  • 第2回受付締切:2020年6月5日(金)【郵送必着】

※第2回受付締切以降も、複数回の締切を設ける予定であり、締切日は決定次第公表予定

申請受付開始は明日、5月1日からの予定となっています。
必要な書類や場合によって添付資料もあるので初日から申請できる企業は相当なスピード感です。
とはいえ、締め切りも15日と時間がありません。
いつもそうですが、この手の補助金は公募期間が物凄く短いので初めての企業には相当な労力が掛かります。
(経験があっても大変ですが・・・)

では、公募要領を見ながら重要な部分だけピックアップします。

対象企業・対象事業・対象経費

まず対象となる企業は「小規模事業者」である点です。具体的には下記の条件に合致する企業となります。

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員の数 5人以下
  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数 20人以下
  • 製造業その他 常時使用する従業員の数:20人以下

自社の規模感と事業内容を照らし合わせて該当するかどうか確認しましょう。
また事業内容に関しては補足も記載されているので、詳しくは要項を確認してみてください。

次に今回の補助金で何に使うお金(経費)なのか、応募前提として記載されています。

1、「サプライチェーンの毀損への対応」「非対面型ビジネスモデルへの転換」「テレワーク環境の整備」のいずれか一つ以上の投資に取り組むこと
2、新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える影響を乗り越え、持続的な経営に向けた経営計画を策定していること。

つまり今回の新型コロナウイルスの影響によって商品の製造に支障をきたしてしまった製造業や、店舗で販売や接客を行なっていたサービス業のIT化促進、あるいはオフィス業務がメインの企業に対するテレワーク促進に対する補助金だと言い換えることが出来ます。

上記の応募前提に沿って具体的な補助対象経費が下記のように記載されています。

1、使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
2、原則、交付決定日以降に発生し対象期間中に支払が完了した経費
3、証拠資料等によって支払金額が確認できる経費

つまり、会社の事業として本当に必要な経費であり、なおかつ対象期間中に支払いが完了する経費となります。特に「期間中に」というのが重要です。仮にECサイトを構築する場合、パートナー企業への発注は必ず補助金が採択された後にするようにしましょう。

更に具体的な事例は下記の通りです。

A:サプライチェーンの毀損への対応の取組事例イメージ
・外部からの部品調達が困難であるため、内製化するための設備投資
・製品の安定供給を継続するため、設備更新を行うための投資
・コロナの影響により、増産体制を強化するための設備投資
・他社が営業停止になったことに伴い、新たな製品の生産要請に応えるための投資

B:非対面型ビジネスモデルへの転換の取組事例イメージ
・店舗販売をしている事業者が、新たにEC販売に取り組むための投資
・店舗でサービスを提供している事業者が、新たにVR等を活用してサービスを提供
するための投資
・有人で窓口対応している事業者が、無人で対応するための設備投資
・有人でレジ対応をしている事業者が、無人で対応するための設備投資
※単に認知度向上のためのHP開設は、対象になりません。

C:テレワーク環境の整備の取組事例イメージ
・WEB会議システムの導入
・クラウドサービスの導入

<コロナ特別対応型>に係る補助金概算払

今回の小規模事業者持続化補助金で従来との最大の違いは<コロナ特別対応型>と記載があるように、新型コロナウイルスに対する特別対応が設定されている点です。

具体的には、新型コロナウイルスの影響によって、売上が前年同月比20%以上減少している企業に対しては補助金を先に支払うという特別措置がなされるそうです。

一般的な補助金は
採択→実行→支払い→補助金受給
という順番です。

必ず先に対象となる経費の支払いを行ない、後から補助金として一部が返ってくるという流れです。
今回の補助金においては、売上の減少が大きい企業に対しては「補助金を先に支払います」という特別措置があるのです。

金額は交付決定額の半額(50%)となっています。

この「売上減少」の証明には市区町村発行の売上減少証明書が必要なほか、もし既にセーフティネット保証4号の申請で認定書を貰っていれば、そのコピーでもいいそうです。

もしもセーフティネット保証4号を利用して融資を受けている、あるいはその準備で手続きをしている場合は、それを使うことで先に補助金が受け取れるので活用したほうが良さそうです。

ECサイトの新規構築が補助対象

以上の通り、補助対象となる事業内容や具体的な対象経費の事例をピックアップしました。

中でも今回は「非対面型ビジネスモデルへの転換」において新たにECサイト(オンラインストア)を構築するための経費(構築費)も補助の対象となります。

新型コロナウイルスの影響でオフライン(店舗)での販売に制限が掛かっている一方、EC(オンラインストア)の需要が伸びているのは間違いありません。
更に今回の補助金によってEC化が可能な小規模事業者の方であれば、応募を前向きに検討してみても良いのではないでしょうか。

とはいえ、いきなりECサイトを構築するといってもどうしていいか分からない、あるいは業務として具体的にどんなことをする必要があるのか?ただでさえ厳しい状況の中で新しいことを始めるのは容易ではありません。

新規ECサイト構築する際の重要ポイント

そこでEC構築・運営支援事業を提供する弊社が考える新規EC構築(オンラインストア開設)の重要ポイントを簡単にまとめます。

スピード感重視!予算20~50万円程度で見積もる

今回の補助金で新たにECサイト構築を検討するのであれば、スピード感が最も重要になります。

まず何と言ってもオンラインという新たな販路で商品を販売し、売り上げを立てることを重視します。

ストア自体は良い意味でこだわりを捨て、必要最小限の機能やデザインに留め、とにかく商品を出品し、お客様に購入していただく体制を1日でも早く構築することです。

また、集客するための広告宣伝費も今回の補助金が対象になります。
そこでECサイト構築費自体は20~50万円程度に抑え、その他に広告宣伝費も計上することで今回の補助金を有効活用してみてはいかがでしょうか。
この予算20~50万円というのも決して高くはありませんが、もっと商品数が少なく、デザインもお任せで、ということであれば10万円程度でも本格的なストア開設は可能です。

もちろん、これらは全てShopifyで構築することを前提にお話ししています。

従来のECプラットフォームでは「とりあえず作って後から乗り換える」という工程に大きなハードルがありました。つまりプラットフォームを移行するのに大きな手間とコストが掛かったのです。そのため、いくらイニシャルコストを抑えてミニマムで構築しても、仮にオンラインストアが伸びてきて規模を大きくしたい時にハードルがありました。

しかし、Shopifyであれば最低限の月額29ドルプランからスタートし、もし大きくしたい場合は月額費を増やすだけでスケールアップ可能です。

ここで記載した予算感は業界の相場的には安い方ですが、決して「質の低いECサイト」ではなく「必要最低限に留めたスタート重視のECサイト」という意味です。
決して安いから悪い、高いから良い、というわけではありません。

1週間程度で開店する心意気で

Shopifyでストア構築をすれば1週間程度で開店することも決して不可能ではありません。

Shopifyが提供する管理画面による構築のしやすさがあるのと、決済周りの設定が早いのが大きな強みです。

一般的にECサイトを新規構築する場合、何に時間が掛かるかと言われると決済周りの整備が要因の1つでした。つまりクレジットカード決済をするための申請、審査、承認にある程度の時間が掛かりました。

Shopifyの場合、事業者の情報を登録すればすぐに使えるようになります。場合によって後から登記簿謄本などの提出を求められることもありますが、それによって決済が止まってしまうことはありません。
まさに「走りながら進める」ことができるのもShopifyの強みです。

とはいえ、ストアの開店においては事業者自身の協力が必要不可欠です。
商品の情報やこだわり、写真、あるいはメッセージなどはストアオーナー(あるいはスタッフ)にしか分かりません。

逆に言えば、必要な情報を提供してしまえば、あとは弊社のようなパートナー企業がひたすら作業を進めるのみです。

1週間程度で開店するんだ!!という心意気を持って臨んでいただければすぐにでも売上を立てることが出来ます。

配送(物流)の確認をする

いくらストアがスムーズに出来ても、実際に注文が来てから発送するという業務がECサイト(オンラインストア)には必要です。

今まで会社やお店として配送業者と付き合いがあれば問題ないですが、もし無い場合は早めに最寄りの配送業者の営業所に問い合わせしましょう。まず最低でも後納契約を結んでおけば、いちいち運賃を支払わなくて済みます。

できれば拠点となるエリア近郊だけでも通常運賃より多少の値引きをしてもらう運賃契約も出来れば理想的です。(配送業者から提案してくる場合がほとんどですが)

また、もしも生鮮食品など冷凍で送る必要があるといった商品の場合も、その辺りの配送がきちんとできるか確認しましょう。

今まで実店舗のみで販売していた事業者にとって当たり前だった「対面での手渡し」がオンラインストアでは「配送業者に委託する」という形に変わります。

補助金とECを活用して新たな一歩を

補助金は自社が対象となっていたとしても、審査があるのである程度のハードルがあります。
順番的には

1、自社が対象になるのか
2、対象事業への投資が本当に必要か
3、対象経費の使い道が具体的に決まっているか
4、応募に必要な書類を揃えられるか

これらのハードルを超えられない限り、時間と労力の無駄になってしまう可能性もあります。

しかし、逆に言えば上記全てに対して会社の方向性が合致しているのであれば、使わない手はありません。
むしろ必然的にそういった企業に対して補助金が採択されるのだと思います。

弊社はShopifyに特化したEC構築・運営支援を提供しています。
その点においては今回の補助金の対象経費の一部としてお手伝いできる点もあります。

しかし、本当に大事なことはオンラインストアを作ることではなく、作ったストアにお客様を呼び、購入してもらい、使ってもらい、そして自社の売上を伸ばす(あるいは立て直す)ことです。

そのために高額な初期費用は必要ありません。

必要なことは「オンラインストアが本当に必要かどうか」を考えることです。

あまり長い時間をかけて考える猶予もありませんが、何かお手伝いできることがあれば幸いです。

補足

対象となる経費や申請方法など、詳細は公募要項を参照ください。
https://www.smrj.go.jp/news/2020/favgos000000k9ri-att/20200428_news01_02.pdf

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