クラウドファンディングを始める際のデメリット・注意点

呉 達人

こんにちは。長野県佐久市のShopify Experts認定企業・合同会社FRONTIER TRADE代表の呉(くれ)です。
Shopify新規構築をはじめ、自社EC・Amazon・楽天市場・クラウドファンディングを活用した総合的なEC運営支援に取り組んでいます。

これまではクラウドファンディングの始め方やメリットなどを書いてきましたが、今回はクラウドファンディングを始めるうえで注意すべきことやデメリットの部分をアウトプットしていきます。

クラウドファンディングに関しては実践した多くの人がメリットや強み、集客の方法や支援を伸ばす方法を論じている一方で、デメリットや注意点についてはそう多く語られていない印象があります。

確かにクラウドファンディングにはメリットが多いですが、デメリットや注意すべきことがあるのも事実です。

組織の規模や資金、スケジュール感によって合う合わないがありますので、必ずしもクラウドファンディングが全てではないという意味合いでお伝えできればと思います。

すぐに販売開始できない

クラウドファンディングはプロジェクト期間中に支援を募り、終了後に製品を製造し、出荷するまでが1つのプロジェクトとなります。

そのため、プロジェクト期間中に他のクラウドファンディングを実行することはもちろん、Amazonや楽天市場、あるいは実店舗など起案しているプラットフォーム以外での販売や出品は原則としてできません。
(原則と表現したのは同時販売を許可しているプラットフォームもあるため)

例えばプロジェクト期間が1ヵ月、終了からリターン出荷完了まで2ヵ月を要するなら、少なくとも3ヵ月間はクラウドファンディング以外の販路がありません。
リターン出荷が完了してから初めて他のクラウドファンディング、あるいは新規の販路に出品して販売開始できます。

一般的な販売方法は先に商品を仕入れ、到着して準備が整ったらすぐに販売が開始できます。
そう言った意味でクラウドファンディングの場合は先に仕入れが無いというメリットがある分、すぐに販売を開始することは出来ないのがデメリットと言えます。

自社の資金繰りや商品に対するスケジュール感、販売戦略などを加味してクラウドファンディングを活用すべきかどうか判断するのがお勧めです。

もしクラウドファンディングをせず、すぐにAmazonや楽天市場、あるいは実店舗に卸したほうがすぐに利益が出そうな商品であればクラウドファンディングをしない、というのも選択肢として考えられます。

割引ありき=利益率が下がる

クラウドファンディングのリターンとして商品そのものを提供するのが購入型クラウドファンディングでは一般的です。
その際、いち早く商品を提供できる「先行者利益」があるのはもちろんですが、実際にはそれに加えて販売予定価格から値引きをするのがクラウドファンディングのリターン設定における慣習となっています。

例えば仕入れ原価3,000円の商品を定価10,000円で販売するとします。

Amazonで販売した場合

売上:10,000円
——
原価:3,000円
手数料:1,000円(10%想定)
送料:1,000円
=======
利益:5,000円

クラウドファンディングの場合

売上:8,000円(20%OFF想定)
——
原価:3,000円
手数料:1,600円(20%想定)
送料:1,000円
=======
利益:2,400円

注意

計算しやすいように消費税や細かい経費は除いてます

このように、一般販売と比べて大幅に利益(=残るお金)が減るのは明白です。
今回は計算しやすいように細かい経費を省いていますが、実際には更に経費は発生してくる可能性が高いので現実的にはかなりシビアな損益分岐となります。

クラウドファンディングをどういった立ち位置と考えるかは戦略次第ですが、クラウドファンディング単体で大きな利益を見込むなら手数料と割引を考慮した販売価格の設定が必要になります。

もちろんそこには仕入れ原価や、その他の諸経費も考慮する必要がありますので、それらの要素を踏まえてクラウドファンディングのリターンや価格を設計していく必要があります。
こういった要素を逆算していくと、いくらで仕入れていくらで販売できるか、その条件が見えてきた時点で戦略も決まってくるといえるのではないでしょうか。

間違ってもどんぶり勘定で起案して「全然お金が残らない!」ということがないように注意しなければなりませんね。

生産状況によって遅延が起こり得る

商品の生産を自社ではなく他社に委託する場合、どのくらい支援(注文)が来るか予測が難しいため遅延に注意が必要です。
これは自社で生産する場合においても考えられます。

そのため、リターンの出荷スケジュールは余裕をもって組むのがお勧めです。
数週間程度の遅延ならば問題ない場合が多いですが、これが1ヵ月以上になってくると炎上(クレーム)の原因となります。

一般的な販売では先に仕入れをして商品が在庫として用意できている状態なので、出荷が遅れるということは余程のイレギュラーが無ければ起こりません。しかしクラウドファンディングの場合は受注が先で生産が後なので、遅延リスクは通常の販売よりシビアに考えるべきです。

この辺りのスケジュール管理、危機管理は特に海外メーカーとの取引で要注意です。
海外メーカーの場合は時間やスケジュールにルーズなことも多々あります。
事前の交渉では「問題ない」と言っていても、実際に生産が始まったら「部品が足りない」とか「人手が足りない」といったトラブルを平気で言ってくることもあります。

そういったイレギュラー対応も踏まえてスケジュールを組み、万が一遅延が起きそうな場合は迅速に対応して支援者の理解を得ることが重要になります。

プロジェクトが爆発的に伸びると急な対応に迫られる

プロジェクトの支援額(支援数)が想定以上の爆発的な伸びをした場合、メーカーや出荷関係など関係各所へ迅速な報告と対応が必要になります。
まさに「嬉しい誤算」ですが、もし生産体制を少なく見積もっていた場合は喜んでばかりもいられません。

具体的にはプロジェクト期間中にテレビに取り上げられたり、人気ユーチューバーやインフルエンサーの紹介などで一気に注目が集まることが起こり得ます。

とても良いことですが、万が一メーカーから「そこまで多くは一気に製造できないよ」と言われたらリターン出荷のスケジュールにも影響が出ます。
遅れてもいいから製造できれば良いですが、「そもそも作れない」といったことを言われたら最悪です。

余談ですが、プロジェクトが想定以上に伸びたにもかかわらず、資金繰りがギリギリだったため生産が追い付かず、リターンを出荷できないまま倒産してしまった会社もあります。そもそも想定以上に伸びたことが原因では無いですが、そういったケースもあります。
また海外では、やはり想定以上の支援を得て開発を開始したにもかかわらず、それでも開発コストが足りずに製品が完成せず頓挫してしまった事例もあります。

滅多にないことですが、対応策としてはクラウドファンディングの進捗状況をこまめにメーカーに伝え、コミュニケーションを密に取っておくことがお勧めです。

繰り返しますがプロジェクトが爆発的に伸びることはとても良いことです。
しかし、クラウドファンディングは支援を得てから生産に着手するという仕組み上、「出来ませんでした」では許されないということは肝に銘じておいたほうがよいでしょう。

まとめ

これまでにアウトプットしてきたクラウドファンディングのメリットや強みと引き換えに、今回はデメリットや注意点をまとめました。

繰り返しにはなりますが、クラウドファンディングをどういった役割で活用するか、その目的や戦略によって異なります。
起案者によってはデメリットがメリットになる可能性もありますし、その逆も然り。

とはいえ、クラウドファンディングの手数料は高い傾向にありますので、損益計算はシビアになりがちです。
この点は多くの起案者にとって共通の注意点ではないでしょうか。

良い部分だけでなく、注意すべき点も含めてクラウドファンディングを検討いただく参考になれば光栄です。

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