呉 達人
Shopify新規構築をはじめ、自社EC・Amazon・楽天市場・クラウドファンディングを活用した総合的なEC運営支援に取り組んでいます。
シリーズ『これだけでも月額29ドル以上の価値あるShopify』も今回で第4回目となりました。
過去3回の中で紹介したセキュリティの安全性、豊富で簡単な決済システム導入、Instagramなどの販売チャネル機能といった要素だけでも十分にShopify(ショッピファイ)を選択する理由になると思います。
とはいえ、まだまだ魅力的な機能が月額29ドルのベーシックプランに搭載されています。
今回フォーカスしたいのはカート落ちの計測とフォローメール機能についてです。
目次
カート落ちとは?
カート落ちとは「かご落ち」や「カート放棄」などとも言われるEC独特の用語です。
オンラインストアで商品を購入する際、すぐに購入する場合とカートに追加するといういずれかの導線が存在します。
このうち一旦カートに商品を追加した後、決済せずにそのままストアを離脱すると商品がカートに残ったままの状態になります。
恐らくオンラインストアやモール(Amazonや楽天市場)を利用したことのある方であれば、一度は経験がある方もいらっしゃるでしょう。
単純に忘れているだけという場合もあれば、購入しようと思ったけど面倒になってしまったなど理由は様々です。
そうは言っても、このカート落ちがストアの売り上げに及ぼす影響は意外に大きいものです。
ストアによって傾向は異なりますが、一般的にカート落ちが発生する確率は50%前後と言われています。
つまり約半数の訪問者はカートに商品を残したまま離脱、放置してしまっているのです。
特に価格帯が安い商品を中心にラインナップしてるストアであれば「とりあえず」的な感覚でカートに入れたまま購入には至らない、というケースは珍しくないためカート落ちの確率が上がりやすい傾向にあります。
なぜカート落ちが発生するのか?
こうしたカート落ちは、あらゆるオンラインストア、モールで発生しています。
自分自身も経験があれば思い出していただきたいですが、なぜカート落ちが発生するのでしょうか?
その原因として主に下記のような理由が考えられます。
- 最初から購入する気は無かった
- お気に入り登録の感覚で押しただけ
- アカウント作成の必須が煩わしかった
- 入力する項目が多くて面倒になった
- 入力の指示が細かくて面倒になった
- 送料や手数料などが後から加算されて萎えた
- セキュリティが安全なのか不安になった
- 読み込みが遅くて次に進めなかった
ご自身で経験がある理由もあったのではないでしょうか?
こうした理由はストア側で改善できる点もあれば、どうすることもできない点もあります。
特にアクセス数があればあるほど、ゼロにするのは難しいですが、ゼロに近づける工夫や施策は可能です。
上記の理由を大まかに分けて考えてみましょう。
購入の意思が低い
そもそも最初から購入の意思が低く、とりあえず見に来ただけという訪問者の割合は多いです。
特にWEB広告で広範囲にターゲティングしていればいるほど、アクセス数は伸びる反面、購入に繋がらないためにカート落ちも増えるということは珍しくありません。
また、とりあえずメモしておきたいという「お気に入り」感覚でカートに追加するという使い方をする人もいます。
この場合はカート落ち云々というより機能として「お気に入り追加」機能を実装してみるのも手です。
とはいえ、そもそも最初から購入の意思が低い顧客に対して表面上の対策では根本的な改善は難しいもの。
SNSやオウンドメディアなど独自のコンテンツ、あるいは実店舗など他のチャネルに誘導するのが得策と考えられます。
操作が面倒
恐らく操作が面倒になってカート落ちする、という理由は多いのではないでしょうか。
入力する項目が多かったり、ストアの都合で入力方法を事細かに指定したり、購入するのにアカウント作成が必須、など。
特にアカウント作成が必須なのはリピートするには利便性が向上する反面、1度しか買わないような商品であれば不向きです。
ストアの特性にもよりますが、一般的にアカウント作成は不要もしくは任意くらいにしておくのが無難です。
また入力方法を細かく指定するのも煩わしく感じられる場合もあります。
確かに入力ミスや余計な記号などを入力されることで注文管理が煩雑になってしまうといった事情があることもあります。
そちらの作業があまりにも負担増になるようであれば、ある程度の入力指示や誘導は必要ですが、ガチガチに固めすぎると窮屈です。
そもそも購入するのに必要最低限の項目以外が存在すると、見ただけでげんなりしてしまいます。
せっかくチェックアウト画面まで進んだから、ついでに色々情報が欲しい、と考える方も少なくないですが、それは別途アンケートを実施する等してチェックアウト画面はスムーズに進んでもらうのが得策です。
ストア自体に問題がある
送料が明記されておらずチェックアウト画面で突然請求されると購入をためらってしまいます。
たとえ送料が安かったとしても「早く言ってよ~」となるものです。これはストア自体に問題があるので明記したほうが無難。
更に致命的なのがセキュリティに対する不安やページの読み込みが遅くて進めないケース。こうした安全性・安定感はストア運営の根幹とも言えます。
とはいえ、Shopifyを利用していれば本シリーズの第1回目で書いたように全く心配はいりません。
もし余裕があればストアの紹介ページにもストアの安全性などを記載してもいいでしょう。
カート落ちをフォローする機能
このようにカート落ちした原因を分析して、出来る限りの対策をする努力は必要です。
とはいえ完全に無くすことはできないので、実際にカート落ちしてしまったお客様に対してのアプローチが次なる施策となります。
それがShopifyでは月額29ドルのベーシックプランから可能です。
Shopifyの通知設定に「カゴ落ち」を設定できる機能が用意されています。
この機能そのものの制御も「設定>チェックアウト」から可能です。
通知する内容も通知設定からカスタマイズできます。
そして実際にカート落ちが発生した場合、注文管理の「カゴ落ち」にリストアップされていきます。
他にもカート落ち対策が可能なShopifyアプリもリリースされていますが、まずはこのShopifyデフォルト機能を利用するだけでも十分。
参考までにですが、カラーミーショップを利用したストアでカート落ち対策機能を導入する場合は追加オプションとなります。
公式サイトによると初期費用50,000円、月額39,000円が発生するそうです(記事公開時点)。分析機能が付いているなど単にメールを送るだけの機能ではないようですが、それでもこれだけのコストが発生することを考えると月額29ドルで最初から用意されているShopifyの価値は高いといえます。
実際にカート落ちが発生する件数や、カート落ち対策の自動通知からどのくらいの割合で購入されたか(カートリカバリー)を分析していきながら効果測定をしてみましょう。
例えばカート落ち件数が多いがカートリカバリーも多い場合、カート落ち対策が効いてると言えます。であれば、そもそもカート落ちする理由を分析して対策するのが良いでしょう。
一方、カートリカバリーもなかなか出来ていない場合は操作の複雑さや、そもそも商品の価格が高過ぎないか、といった原因を考える必要があります。
いずれにしても大事なことは「そもそも計測が出来ていなければ対策も考えられない」という点です。
Googleアナリティクスでも目標設定のフローで分析は可能ですが、Shopifyはもともとのレポート機能で分かるのも便利です。
カート落ち対策が全てではありませんが、最初から用意されているのであれば活用しない手はありません。
それによって売り上げが伸びれば良いですし、使ってみて物足りなければShopifyアプリを導入してもいいでしょう。
月額29ドルのベーシックプランでカート落ち対策機能を試せるだけでもShopifyの利用価値は高いのではないでしょうか。
次回は最後に触れたストア分析・レポート機能についてみていきたいと思います!