【2024年版】楽天市場出店のメリット・料金・特徴と売上を伸ばすコツ(施策)

呉 達人

こんにちは。長野県佐久市のShopify Experts認定企業・合同会社FRONTIER TRADE代表の呉(くれ)です。
Shopify新規構築をはじめ、自社EC・Amazon・楽天市場・クラウドファンディングを活用した総合的なEC運営支援に取り組んでいます。
12月は支援先企業様のEC売上が過去最高を更新するなど嬉しい状況です。2024年もしっかり取り組んでまいります!

今年も残すところあとわずか。
年内の業務はだいぶと落ち着いており、ここ最近は来年や支援企業様の来期計画を考える時間が増えています。
2023年は弊社にとって新たなチャレンジがありました。
それが楽天市場の運営支援です。

楽天市場はAmazonやShopify(自社EC)と異なり、自社運営の経験・ノウハウが無い状態でした。
そのため楽天市場の経験豊富な方にもサポートいただきながら、現時点で約半年間の運営支援を行なっています。
12月は季節要因もありましたが過去最高月商を記録しており、スーパーセールなどイベントの大きさやモール(楽天市場)の魅力も改めて実感しました。

そこで今回、当ブログでは初めてのとなる楽天市場に関して書いていきます。
まだ2023年ですが、もう来週には年明け2024年となりますので、2024年版と題しています。
弊社としてもまだまだこれから知見をためていく状況ですが、まずこの半年間で相当な経験・知見を得ました。
少しでも「楽天市場の実体験」をお伝えできれば幸いです。

MEMO

各種情報は記事公開日時点です。変更になる可能性も十分ありますので予めご了承ください。

楽天市場の成功は会社の成長につながる

まず最初に楽天市場の存在意義・役割を確認しておきましょう。

よく「楽天市場は出店しても売れない、失敗する」といったネガティブな情報も目にします。
「ネットショップ担当者フォーラム」の記事によると、楽天市場に出店した店舗の約75%が17年間の内に退店。
そのうち約半数の中小零細業が消滅している、という情報を掲載していました。

つまり「楽天市場は出店しても売れない」というより、そもそも会社として生き残っていくことが難しい状況だったと考えられます。

それほど、楽天市場は他のモール以上に、企業の存続や事業の成長そのものにつながるモール(販路)だといえます。
経営に対するインパクトも大きいため、楽天市場の成長が会社(事業)の成長につながるといっても過言ではありません。

楽天市場出店の基礎

では、楽天市場に出店するための基本的な情報を整理していきましょう。

出店料金・ランニングコスト(手数料)

AmazonなどのECモールの中で最も出店料金とランニングコストが高いと言われているのが楽天市場。
2023年12月時点で主な料金体系は以下になっています。

  • 初期登録費用60,000円(全プラン共通)
  • がんばれ!プラン:月額19,500円(年間一括払・1年契約)
  • スタンダードプラン:月額50,000円(半年ごと2回分割払・1年契約)
  • メガショッププラン:月額100,000円(半年ごと2回分割払・1年契約)

その他にも楽天ポイント分、楽天スーパーアフィリエイト手数料、モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料、R-Messe使用料、楽天ペイ利用料など様々な手数料が発生します。
こうした経費を加味すると、売上に対する手数料は大まかに15~20%かかる計算をしておくのが現実的です。

Amazonと大差ないようにも感じますが、最大の違いはキャッシュフロー。
前述の通り、楽天市場のメインコストであるプラン料金は月額換算してるものの、実際の支払いは一括または二回分割です。
つまりがんばれプランは234,000円を一括払い、スタンダードプランでも最初に300,000円かかるため、まとまった資金が必要となります。

また楽天ロジの利用や広告運用、楽天ポイント付与などランニングコストも幅広く発生しますので、事前の設計が非常に重要です。
まさに実際の店舗を出店するのと同じ感覚で計画を立てないといけません。

特徴・強み

こうした料金体系は楽天市場の特徴といえますが、裏を返せば強みともいえます。
つまり楽天市場に出店すること自体がECにおける販路としての強みになります。

例えばAmazonなら競合他社も参入しやすく、かつ価格競争になりやすいプラットフォームです。
集客力は大きい反面、一度Amazon内ランキングを落とすと簡単には上がれません。
売れれば売れるほど競合他社のマークも厳しくなります。

Shopifyで自社ECを運営する場合は直接的な価格競争や競合他社の脅威は少ない反面、自分たちで集客しないといけません。

確かに楽天市場もランキングや競合他社の存在はあるものの、Amazonに比べると独自色を出しやすいプラットフォーム(モール)です。
楽天市場が開催する各種イベントやセールでの集客力も大きな魅力。
さらに親会社である楽天グループが生活に密着した各種サービスを提供しており、いわゆる「楽天経済圏」と呼ばれる購買力のある顧客を囲い込んでいるのも大きな強みです。

イベント・セールの集客力と楽天経済圏による購買力
この2つは楽天市場の特徴・強みであり、独自性ともいえます。

相性の良い商材(カテゴリー)

私独自の感覚になりますが、「食品」の相性が良いECモールはは楽天市場だと考えています。
他にも家電製品、日用品、消費財など幅広い商材が売れており、楽天ポイントがあることから高単価でも一定の成果が見込めます。

「相性が良いから出店する」という基準も必要ではありつつ、前述した出店料金やランニングコストを加味した上で、採算が取れるかどうかで検討するのがオススメです。

出店してもすぐ売れるとは限りません。
最初の数カ月は初期費用も含めて赤字、という店舗が多いのではないでしょうか。
その計画も含めて、少なくとも3年は運営を継続できるかどうか、そこが判断基準になると考えています。

楽天市場で売上を伸ばすコツ

では実際に楽天市場の出店を決断したら、やるべきことは売上を伸ばすことです。
1日でも早く初期費用を回収して利益にしていくのが重要であり、楽天市場という販路に求める役割でもあります。

楽天市場で売上を伸ばすためのコツ・ノウハウを、実際に弊社が取り組んだことをベースにご紹介します。

担当者(楽天ECC)との関係づくり

楽天市場に出店すると必ず楽天ECCと呼ばれる担当者が付きます。
(楽天Eコマースコンサルタントの略だそうです)

Amazonでは一定の成果を上げないと担当者は付きません。
ShopifyもShopify本体の人が担当に付くのは最上位のShopifyPlusプランに限られています。

楽天市場では、楽天ECCが様々なアドバイスや情報共有をしてくれます。
楽天市場で売上を伸ばすコツの第一に、この楽天ECCとの関係づくりが重要です。
基本的な考え方は「知りたい情報は徹底的に聞く」ことです。

楽天ECCは、失礼を承知で書きますが、正直なところ当たりはずれがあります。
優秀な担当者が付けば良いですが、経験が浅い若手になるケースもあります。

担当者次第で売上が変わる可能性もありますが、それだと運頼みになってしまいます。
そこで重要なのは情報を待つのではなく、こちらから取りに行くことです。

楽天ECCとて、すべての情報(データ)を持っているわけではありません。
最終的に「ここまでしか知らない」と言われたら仕方ないですが、そこまでの知りたい情報は徹底的に聞きましょう。

楽天ECCにとっても、自分が担当する店舗が売上を伸ばせば社内評価が上がるでしょう。
売上が伸びて楽天市場内での存在感が増してくれば、担当者も出世や昇給につながる可能性は十分に考えられます。

まさにWINWINの関係で、お互いに努力し合って伸ばしていくのが楽天市場。
この点は、Shopifyの自社サイトでマーチャント(運営者)とShopifyパートナーが伴走する状況と似ていますね。

楽天市場での魅力的なページづくり

次に「楽天市場で」魅力的なページづくりが重要です。

実際に楽天市場の商品ページを見れば分かりますが、多くの店舗で画像(写真)やフォントがドデカいです。
食品であれば、いわゆる「シズル感」はもちろん、どっさりとしたボリューム感などを大々的に訴求しています。

スマホ、特に楽天市場アプリでのアクセスや売上が大きいことから、スマホファーストで制作するのが基本。
さらに実績や口コミなど、使える情報は最大限、商品ページに盛り込んでいきます。

ここで大事な考え方が「ブランドの世界観を大事にしすぎない」ことです。
例えば高級で繊細なデザインのブランドが楽天市場に出店する場合、どうしても「カッコいいデザイン」になりがちです。
よほど既に知名度があれば別ですが、基本的にそれだと売れません。
ブランドの世界観を全面に出していいのは楽天市場よりも有名なブランドだけだと、私は考えています。

郷に入っては郷に従え。
楽天市場では楽天市場なりの見せ方があります。
何より消費者(楽天ユーザー)がそれに慣れています。

ぱっと見は「少し下品」「商売っ気が強い」ぐらいで「ちょうどいいのが楽天市場」です。

データを見ながらメンテナンス

最初に作った商品ページで終わりにしてはいけません。

必ずデータ分析して検証しながらメンテナンスするのが重要です。
楽天市場の管理画面(RMS)は慣れるのに少し時間はかかりますが、分析機能も充実しています。
むしろRMSでしか分析できないので、定点的にチェックしていきます。

私が知る限り、楽天市場の流入経路やアクセス数の8割前後は商品ページです。
一般的な自社サイトではトップページからの流入が多いと思いますが、楽天市場で店舗のトップページは意外と見られていません。
実際に自分で使ってみればすぐ分かりますが、例えば楽天市場のアプリを起動して買い物した時に、その店舗のトップには恐らく行かないと思います。

こうした楽天市場独自の考え方、習慣を考慮する必要があります。

イベント(セール)でポイント倍率を上げる

楽天市場の強みはイベントやセールです。
「お買い物マラソン」という買い回りイベントや、年に4回「楽天スーパーSALE」が開催されるなど毎月最低2回はイベントがあります。
こうしたイベント情報は事前に楽天ECCが教えてくれたり、自分で管理画面(RMS)をみて確認します。

楽天市場イベント時の王道施策はポイント倍率を上げること。
ポイント分は店舗の負担となりますが、広告費と考えるべきです。

例えば通常はポイント2倍つく商品をイベント期間中のみ10倍にすれば、消費者にとって大きなメリット。購買意欲が上がります。
実際に私もよくイベントの際に欲しいものを買います。

この辺りも消費者(楽天ユーザー)はよく知っていて、イベント期間中でも更に「5のつく日」か「0のつく日」に買い物をしてお得に効率的にポイントを貯める、といった行動をします。
いわゆる「ポイ活(ポイントを貯めてお得に生活すること)」というワードが一般化してるくらいです。

こうしたイベントやセール時に大きく売上を伸ばせるように施策を準備します。
逆に言えば何もない日は売上がそこまで伸びないため、波ができてしまうのは良くも悪くも仕方ないところです。

メルマガ配信

前述のイベントやセールに合わせてメルマガ配信をするのも楽天市場の王道・鉄板施策です。
ただしメルマガ配信は「過去に自社店舗で買った人限定」です。
そのため最初のうちは配信リスト(=購入者)が少ないので成果にはつながりません。

また一定の配信リストがあったとしても、1通のメルマガで売上を大きく伸ばすのは難しいです。
とはいえ、やらないわけにはいきません。

塵も積もれば山となる。
こうした「細かい運用力」が問われるのも楽天市場です。

クーポン発行

初回限定、期間限定、次回使える、など各種クーポンを発行して値引きするのは王道的な施策です。

とはいえ「値引きありき」はブランド毀損につながるため金額や回数を抑えるなど工夫も必要。
商品ページの見せ方はブランドの世界観を気にし過ぎないと書きましたが、価格は基本的に変えないのが理想です。
あくまでも補助的な施策として活用するのがオススメです。

広告運用(RPP)

楽天市場内外で出稿できる各種広告メニューがあります。
中でも運用しやすいのが楽天RPP(検索連動型)広告です。

Googleリスティング広告と似ており、楽天市場内の検索キーワードに対して出稿できます。
検索キーワードは消費者が商品を探している最も分かりやすい行動です。
検索結果の上位に表示されれば大きな露出となり、購入につながる可能性は上がります。

特に立ち上げ当初はストアの実績(レビュー)も商品レビューも少ないため、楽天市場内での検索順位(楽天内SEO)は低い状態にあります。
自社サイトのGoogle検索対策と同様、まずオーガニックよりも広告で上位表示させ、売上につなげることが重要です。

とはいえ、楽天RPP広告の運用はGoogleリスティングと異なる性質もあり、ある程度の慣れや経験が必要です。
特に目安CPCの調整が重要で、生き物のように毎日変動します。

季節によってもキーワードごとの目安CPCは大きく変動するので、なるべく毎日チェックするのが理想的。
私も楽天市場の運営支援をするようになってからは毎日、それこそ土日祝日であっても楽天市場の管理画面を開いて、パフォーマンスや目安CPCをチェックしています。

毎日確認することで大きな変動にもすぐ対応できるのはもちろん、前日と変化がなければOKという感じで確認や作業時間は短くて済みます。

親和性の高そうな広告枠を買う

イベントやセールと似ているのが広告枠です。
今の時期(12~1月)だと「お歳暮」や「おせち」の特集ページです。

楽天市場としても大々的に宣伝しますので、もし親和性の高そうな広告枠(特集)があれば購入を検討します。
この辺りは楽天ECC経由じゃないと申し込めないケースもあり、中でも人気の広告枠はすぐ埋まるため早めの検討・準備が必要です。

費用対効果は広告枠・企画にもよりますが、単体で広告費を回収できるだけの売上を記録した実績はあります。

レビュー集め

Amazonと同様、出品している商品に対するレビュー(口コミ)を増やすのは非常に重要です。
楽天市場の場合は「レビューお願いメール」といった標準機能があるため、一応購入者に対してメールでお知らせは可能です。

ここに次回使えるクーポンを発行するのは王道的な施策です。

とはいえ実際にレビューを書いてくれる人はそう多くないので、店舗独自の施策も重要。
もちろん楽天市場のルール(利用規約)に沿って実施しなければなりません。
Amazonもそうですが、近年は特に「さくら・やらせ・ステマ」といった不正行為に目を光らせていますので、そこを守るのは当然。

ルールの範囲内で独自のレビュー施策をする方法はありますが、具体的な内容は控えさせていただきます。

楽天市場内SEO対策

最後は楽天市場の中で自社商品を上位表示させる楽天内SEO対策。

Google検索エンジンやAmazon内で上位表示を狙うオーガニック検索対策と同じです。

楽天市場もAmazon同様に様々なアルゴリズムのもとに検索結果とその表示順が決定されます。
前述の楽天RPP広告を使って目安CPCの入札に勝てば上位表示されますが、それ以降の「PR」が付いてない商品はオーガニック検索順位です。

この順位が上がってくればくるほど広告に頼らずとも売上が伸びてきて、採算が合ってきます。

と言う(書く)のは簡単ですが、その道のりは長く険しいため、具体的な内容は控えさせていただきます。

AmazonやShopifyへの応用も可能

私がこの半年間、楽天市場の運営支援に携わって率直に感じたのは「この施策はAmazonやShopifyでも応用できそうだな」ということ。

記事内でも書きましたが、楽天市場はある程度「商売っ気も必要」なプラットフォーム(モール)だと考えています。
まとまった初期費用とランニングコストもあるため、生半可な気持ちでは取り組めません。

それこそ売上が伸びないと死活問題。
綺麗事ばかり言ってられません。

特に弊社のように支援する立場だと実際に身銭を切ってるわけじゃないので、悠長な施策や提案をしてしまうリスクもあります。

何よりもまず売上を伸ばすこと。
そのためにいまどんな状況で、必要な施策は何で、その優先順位は何かを常に考え実行する必要があります。
こうした考え方はShopifyでの自社EC運営でもAmazonでも同じことです。

楽天市場はまとまった費用(投資)が必要な分、その精度や確度を上げていくことが求められます。
まさにEC運営の真髄と言えるかもしれません。

楽天市場を運営して取り組むことはEC運営全体にも応用できる要素がたくさんあります。
もちろんAmazonが先で、これから楽天市場に、という場合にAmazonのやり方が応用できる要素もあります。

私個人として大きな経験と収穫があったのは事実なので、2024年も楽天市場でしっかり売上を伸ばせるよう取り組んでいきます。

もし楽天市場での売上に悩んでいたり、出店を検討されている方がいらっしゃいましたら、ご相談ください。

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