呉 達人
Shopify新規構築をはじめ、自社EC・Amazon・楽天市場・クラウドファンディングを活用した総合的なEC運営支援に取り組んでいます。
2024年は特にEC運営支援に注力しており、企業や事業のグロース(成長)に貢献したいと考えております。
日本時間2024年2月1日未明にShopifyから膨大な量のアップデートやリリース情報が発表されました。
今回もボリュームたっぷり。数多くの新機能リリースや従来機能のアップデート情報満載ですが、その中でも日本国内のマーチャント(EC運営事業者)様が注目すべきトピックスを厳選してまとめていきたいと思います。
なお、すべての情報を確認したい方はこちらをご覧ください。
目次
Shopify Editionsとは?
「Shopify Editions」とはShopifyのリリースイベントのようなものです。
他にも「Shopify UNITE」というリアル開催の交流イベントがあり、その中でShopifyからの最新情報が発表されるケースもあります。
Shopifyをご利用のマーチャント様であれば、ひとまず「Shopify Editions」と「Shopify UNITE」は「Shopifyから何か大きな発表があるイベント」と認識いただければ問題ないでしょう。
Shopify Editions Winter’2024注目トピックス
それでは早速、今回のShopify Editionsで発表された内容から日本のマーチャントが注目すべきトピックスをまとめていきます。
ピックアップした内容は弊社なりの見解・コメントも書いていきたいと思います。
Search & Discoveryアプリの色見本フィルター
コレクション(商品一覧)ページで活用できる商品の絞り込み機能。
Shopifyが提供する公式アプリ『Shopify Search & Discovery』にて実装可能ですが、そのうち「色見本フィルター」も表示できるようになったそうです。
事前にメタオブジェクトを利用して条件を設定しておく必要はありますが、より視覚的に絞り込みができるようになるため商品数が多いストアで重宝しそうですね。
詳しい設定方法はこちら。
Shopify Subscriptions
今回発表の中では最も大きな話題といえるでしょう。
3年ほど前から注目されていた「Shopify公式・純正のサブスクリプションアプリ」が、ついにリリースされました。
サブスクリプション(定期販売)を行なうためには、これまでサードパーティー製アプリの導入しか選択肢はありませんでしたが、待望のShopify公式アプリの登場です。
とはいえ、実際にできる機能は限られているようです。
これはShopify公式アプリ全般に言えることですが、料金が無料のため、多くを求めてはいけない、といえます。
詳しくは日本でサブスクリプションアプリ『Mikawaya』を提供している株式会社フロアスタンダード様が検証した記事がありますので、そちらをご覧ください。
Shopifyのサブスクアプリ「Shopify Subscriptions」がついにリリース!
さっそく検証して、機能をまとめたのでご覧ください!https://t.co/FojR0y0M4p
・設定はすごく簡単
・配送日時指定や2段階割引など、日本の商習慣で好まれる機能はない
・マイページのUIは素敵。ただし変更系機能が弱い— 【公式】Mikawaya@Shopifyアプリ (@Mikawaya9) February 1, 2024
Shopify Bundles最大30商品に拡大
管理画面で登録した商品を組み合わせてセット商品として販売できる「バンドル機能」。
例えばシャンプーとリンスを登録しておき、そのセットを販売する、というイメージです。
通常は「シャンプー・リンスセット」という商品を別で登録する必要があるため、個別SKUとの管理を分けるかどうか、など管理工数が発生してしまいます。
バンドル機能を使うことで商品自体は個別SKUを管理すればいいだけなので、管理工数を減らすことができます。
Shopifyでは公式アプリとして『Shopify Bundles』が2023年7月11日より提供されていますが、従来10商品までだった上限が30商品に拡大されたそうです。
前述の例で挙げたようにセット商品の販売と親和性が高い商品を扱っているストアにとっては朗報ですね。
下書き注文がディスカウントとメタフィールドに対応
少しテクニカルな項目になりますが、下書き注文でディスカウントやメタフィールドが使えるようになりました。
下書き注文とは電話や対面などアナログでの注文を作成するための機能です。
ここでディスカウントやメタフィールドが使えるようになったことで、より管理できる範囲が広がります。
ストアによって使う使わないは分かれるところですが、痒い所に手が届いている印象です。
ワンページデザインでチェックアウト高速化
もともとShopifyのチェックアウト画面(決済フォーム)は3ページに分かれていました。
それぞれ決済者情報や配送先などの設定(入力)を行なう画面でしたが、これが2023年9月から1ページに集約されました。
現在はデフォルトで1ページになっており、ストアカスタマイズ画面から3ページに戻すことも可能です。
1ページに集約されることで消費者はページ遷移せず情報入力が可能となるので、コンバージョン率にも大きな影響を与えます。
Shopifyは企業としても各ストアのコンバージョンをいかに上げるか、増やすかを最優先に考えており、それに基づいて機能の開発やUIの設計をしていますが、その一環としてチェックアウト(決済)画面の読み込み速度が最大95%向上したため、購入者の支払いが完了するまでの所要時間が4秒短縮されたと発表しています。
Card Account Updaterで潜在的な損失を防止
Card Account Updaterとはクレジットカードの有効期限が切れたり、紛失して再発行した際に新しいクレジットカード情報を入力(登録)しなくても、自動的に紐づけて利用できる、という仕組みだそうです。
Shopifyペイメントが稼働しているStripeで実装されているそうなので、実質Shopifyでも利用できるようです。
Stripeによれば、2022年のクレジットカード保有者の約40% が、カードの有効期限切れ、紛失、不正使用による侵害が原因でカードを再発行しているそうです。
カードを再発行した場合、ほとんどの顧客は、それまで支払い情報を保存していた企業に新しいカード情報を共有せず、結果として取引の拒否、アカウントの失効、サブスクリプションのキャンセルが発生。
顧客は不満を抱き、企業側は売上の損失につながってしまいます。
Shopifyペイメントを利用していれば、こうした機会損失を防止できるそうです。
これだけのシステムを月額数千円から利用できるShopify、改めて素晴らしいECカートシステムといえますね。
詳細はこちらをご覧ください。
顧客メタフィールドのインポートとエクスポート
Shopify管理画面に保管されている顧客情報のインポートとエクスポートができるようになりました。
これによって顧客情報のメンテナンスや顧客分析作業がしやすくなります。
シレッと書いてありますが、それなりに大きな影響があり、活用方法次第で売上アップはLTVの向上につながる可能性もあります。
詳しくはこちらをご覧ください。
全プランでレポート表示項目が同一に
個人的に最も衝撃を受けたのがこちら。
LPでは下の方にシレっと書いてあるだけなのですが、全プランにおいて「ストア分析」と呼ばれるレポート機能で閲覧できる項目が同一となりました。
従来はスタンダードプラン以上を利用することで表示項目が飛躍的に増加したのですが、それが全プラン共通になったということで、事実上の機能拡張と言えるでしょう。
引き続きGA4との使い分けがオススメではありますが、月額5ドルのスタータープランからこれだけのレポートが利用できるのは圧倒的です。
下記が実際に2024年2月2日時点でのベーシックプランのストア分析画面をキャプチャしたものです。
これだけの項目が活用できるのは圧巻です。
Plus限定や日本対象外も少なくない
実際に発表された内容は100項目を超える膨大な量です。
とはいえ、そのすべてが今すぐ活用できるわけではありません。
特にEC運営は各企業・ストアがおかれている状況(フェーズ)によって最適な施策は異なります。
新しい情報が必ずしもすぐにストアや事業の成長につながるとは限りません。
今回の発表も、よくよく確認するとShopifyPlus(最上位プラン)限定機能も一定数、見受けられました。
日本ではまだ利用できない機能、あるいはそもそも対象外の内容もあるため、ひとまず今回ピックアップした内容だけでも十分ではないかと考えています。
もちろん、もっとShopifyを使いこなし、より専門的・高度な機能を求める方にとっては他にも重要な情報がいくつもありますが、今回はコンパクトにまとめてみました。
今後もShopifyの進化には注目ですね。