呉 達人
Shopify新規構築をはじめ、自社EC・Amazon・楽天市場・クラウドファンディングを活用した総合的なEC運営支援に取り組んでいます。
ここ最近は大変ありがたいことに多くのマーチャント様からShopifyに関するお問い合わせをいただいています。
新規構築に関する内容から既にShopify(ショッピファイ)でストア運営を開始している方まで様々です。
本当にストアの数だけ運営方針も異なりますし、それに応じて課題や疑問も様々です。
こうしたShopifyでオンラインストアを構築・運営する上で推奨されるのがパートナーと連携することです。
ShopifyではShopify Partners(パートナー)あるいはShopify Experts(エキスパート)と呼ばれるパートナー制度を導入しています。
具体的にはパートナー制度に登録している支援企業やフリーランスの方を管理画面に「コラボレーター」として招待できます。
コラボレーターとして招待することでShopifyプランの選定基準でもあるスタッフアカウントの上限数を消化することなく管理画面の操作が可能になります。
つまり、ただ客観的なやり取りや支援ではなく、実際に管理画面にアクセスして操作や作業を行なうことができるわけですね。
こうしたパートナー制度の充実もあって、特に今年、2020年は大変多くのShopifyパートナーやShopifyエキスパートが誕生しています。
弊社も今年から本格的にShopifyパートナー(後にExperts認定)企業としてサービスの提供を開始しました。
EC業界やShopify界隈が盛り上がることはとても良いことですが、その反面、実際にストア運営をするマーチャント様(以下、EC運営者)にとっては「どんなパートナーに依頼していいのか分からない」といった課題やお悩みもあるのではないでしょうか?
そこで今回はEC運営者向けにShopifyの新規構築あるいは運営支援をしてもらうためのパートナー選びのポイントをまとめてみました。
この手の記事は何かと自社を持ちあげる傾向にありますがフラットにありのままの見解を記載します。また特定の企業や個人を評価するものではありません。
目次
パートナー選びのポイント
WEBとECは似て非なるモノ
まず何と言ってもWEBサイトとECサイト(オンラインストア)は似て非なるモノだと認識するのが賢明です。
私自身もともと約4年ほどWEBサイト制作の現場を経験して、今現在はShopifyを専門としたECの現場にいます。
正直なところ、最初「WEBとECは似たようなものだ」と思っていました。
しかし、実際に新規構築や運営支援をさせて頂く中で様々な違いを実感しています。
弊社の場合はもともと物販(小売)事業から創業しているため、Shopifyをマーチャントとして利用していました。
つまりユーザー側でECに触れていたので何かと実経験でノウハウを蓄積していました。
もちろん必ずしも自社でEC運営をしている必要はありませんが、やはりWEBサイト制作の経験が豊富なパートナーよりECの経験が豊富、あるいはECを専門としているパートナーを選ぶのがオススメです。
業界・商品への理解
WEBとECが似て非なるモノである理由はもう1つあります。
ECサイトの場合、どんなストアであれ最大の目的は商品を販売して売上をあげることです。
WEBサイトの場合はサイト自体が直接的な収益をもたらす場合もありますが、多くの場合は間接的です。
ECの場合は直接的に売上・収益に関わってくるもの。
必然的に販売する商品があり、その商品が属する業界が存在します。
単価の安い日用品なのか、高級志向のファッションブランドなのか、一家に一台を目標とする家電製品なのか、冷蔵配送が必要な食料品なのか。
それぞれの商品カテゴリー、業界によって売り方・見せ方・運営方法は異なります。
同じECでも、商材や業界によって、これまた似て非なるものです。
依頼するパートナーがどういった業界あるいは商品に対して経験・ノウハウ・実績があるのか。
そして何と言っても自社の商品に対して理解を深め、もっと言えば実際にその商品を使ったり食べたりしたことのある(あるいはそうしようという熱意がある)パートナーが理想的だと考えています。
実績は売上ではなく案件数と業種
パートナー選びで一番最初に目につくのが実績かもしれませんね。
確かに実績は重要です。
無いよりはあった方がいいですが、WEBサイトの制作よりECサイト、もっと言えばShopifyの構築や運営サポート実績があった方が理想的です。
また、たとえShopifyの構築・運営実績が豊富だったとしても、みるべき重要なポイントがあります。
「売上」ではなく「案件数」と「業種」を重視したほうがいいと考えています。
例えば、食料品を販売するECを検討しているとしましょう。
下記のような実績の3社がいた場合、どのパートナーを選びますか?
B社:案件実績10社/ストア合計年商5,000万円/日用品・家電など
C社:案件実績5社/ストア売上非公開/食料品のみ
実際には他の要素や費用の違いもありますが、基本的にはC社、あるいはB社とC社で相見積もりとなるのではないでしょうか。
いくらA社が支援しているストアの売上が大きくても、業界が異なればノウハウも異なります。
また、言い方は悪いかもしれませんがストアの売上はストア運営者の努力や工夫、あるいは商品自体の魅力に起因する場合がほとんどです。
もちろん、マーケティング支援など売上を上げるための施策を提案・支援している場合もありますので、パートナーが無意味とは言えません。
とはいえ、パートナー選びという視点から考えると、ストアの売上金額(実績)自体に大きな意味は無く、それよりも自社のために動いてくれるか、業界に対する理解はあるか、そして何より商品に対する理解を深めてくれるか。
この辺りの方が重要ではないでしょうか。
そういった意味で、上記の場合はC社であれば食料品のECに対する実績が豊富なので信頼できる可能性が高いと考えられます。
逆に売上ばかりを推してくる場合、「その売上を自社のストアで保証してくれるわけではない」と認識したほうがいいかと考えています。
(そもそも自社ストアの売上や収益目標は自社で立てるべきなのでパートナーに依存する部分でもありませんね)
物流への理解
WEBとECを比較した時に最も異なる点が物流です。
無形商品の販売を除けば、扱っている商品が売れた場合、必ずお客様の元へ届ける必要があります。
当たり前といえば当たり前ですが、意外と物流の流れや実務を経験したことのないパートナーが多いのも事実です。
もちろん最初から物流の仕組みが確立できていて、その点は問題ない場合はパートナーに求める必要もありません。
一方、初めてオンラインストアを立ち上げるEC未経験の運営者の場合、どういった物流の仕組みにするかは必ず検討・準備が必要です。
一概には言えませんが「作って終わり」の傾向がある強いパートナーの場合「物流のことまでは分からない、対象外」といったケースも珍しくありません。
かといって物流だけを専門にしている、あるいは精通しているShopifyパートナーも少ないため、専門性の高いパートナーは引っ張りだこです。
ここで重要なのは専門性の高さというより、物流への理解があるかどうか、だと考えています。
例えば商品や出荷量の見込みに合わせて自社で対応すべきか、あるいは外部の倉庫に保管して出荷を委託したほうがいいかをアドバイスしてくれるパートナーであれば心強いと言えます。
また、外部委託と言っても様々な事業者があり、更にShopifyと連携できるかどうか、あるいは自動化できるかどうか、そういった部分まで踏み込めるパートナーとなると選択肢は狭まってくる可能性が高いです。
本来はパートナーから「物流はどうしますか?」とヒアリングすべきですが、もし無い場合は支援が可能かどうか確認したほうがいいと考えています。
アプリ依存には要注意
Shopifyの魅力は少ないコストと手間で様々な施策や表現ができることです。
その要となるのがShopifyアプリ。
言い換えれば自社ストアへの追加機能の実装となります。
Shopifyアプリはストアの運営方針によって異なりますので、その辺りの相談や選定もパートナーにとって重要な役割です。
とはいえ、Shopifyアプリも万能とは言い切れません。
Shopifyアプリを多用する主なデメリットはストアの読み込みスピードが遅くなる、アプリ同士がバッティングして不具合を起こす、などです。
Shopifyの可能性は無限大ですから、ついつい「あれもこれも」となってしまいます。
またShopifyアプリを使うことで、それが良くも悪くも実現できてしまいます。
パートナーに対して「こんなことがしたい」と要望を出し、それに対してShopifyアプリを提案するのはよくあることですが、あまりにもShopifyアプリに依存するのは要注意です。
内容次第ではShopifyアプリじゃなくてもいい場合があります。
特にここ最近はShopifyの標準機能もかなり充実してきています。
標準機能で実装できる機能を知らずにわざわざShopifyアプリを利用する、といったケースも考えられます。
そういった意味で第一線ではなくとも、ある程度コンスタントにShopifyの最新情報をキャッチしているパートナーがオススメです。
また、そもそも論として、先ほども書いたようにECの目的は売上を上げることです。
「本当にそのアプリを入れることで売上UPの可能性があるのか?」は考えるべきかと考えています。
何となく「このアプリ使ってみたい」という動機でShopifyアプリを導入するのは本末転倒となるので気を付けたほうがいいかもしれません。
まとめ
最終的にどんなパートナーに依頼すればいいかは様々な要素があると思います。
元々の知り合い、事務所が近い、年齢が近い、費用が安い、あるいは言葉では表現できない感覚的な要素もあるかもしれません。
それはそれで大事な要素です。
オンラインストアの運営は長距離走。
もしパートナーに依頼するのであれば、この長い長い道のりを伴走してくれるスタンスのパートナーが理想的です。
そういった意味で今回ピックアップした要素が少しでもパートナー選びの参考になれば幸いです。
もちろん私たちも選んでいただけるよう、日々精進してまいります。