呉 達人
Shopify新規構築をはじめ、自社EC・Amazon・楽天市場・クラウドファンディングを活用した総合的なEC運営支援に取り組んでいます。
クラウドファンディングの仕組みを使うと、販売者(起案者)は大量の在庫を抱える必要がなく、消費者(支援者)は珍しい商品をいち早く、安く手に入れることができる。
こういった関係性が双方にとって支持され、日本国内でも浸透してきています。
クラウドファンディングを活用する方法で最もスタンダードなのは専用のプラットフォームにて起案することです。
具体的には、購入型クラウドファンディングであれば『Makuake』『GREEN FUNDING』『CAMPFIRE』あたりが主流と言われています。
また、それ以外にShopifyでもクラウドファンディングを実施することが可能です。
Shopifyでクラウドファンディングをする場合、厳密には自社が運営するShopifyのストアで実施することになります。
いわば「自社クラファン」です。
そこで今回は自社クラファンをする方法とメリット・デメリットをまとめていきます。
目次
自社クラファンを実施する方法
まずは自社クラファンをShopifyで実施するための方法です。
大きく分けて2つありますが、最初に紹介するShopifyアプリを使う方法が現実的です。
Shopifyアプリ『Crowdfunder』を使用
Shopifyアプリの中でもクラウドファンディングの機能を実装できるアプリは意外と少なく、『Crowdfunder』の利用が多い傾向にあります。
7日間はお試し無料で、月額24ドルです。
クラウドファンディングは期間限定で実施する場合が一般的ですので、例えば2カ月利用したとしても日本円で約6,000円ほどでしょうか。
『Crowdfunder』を使用することで通常販売の商品とは別に、クラウドファンディング形式の商品訴求が可能になります。
自社または依頼して開発
あまり現実的ではありませんが、アプリがある以上、独自のカスタマイズも含めて開発することが可能と言えます。
とはいえ、よっぽど多くの商品を実施するといった理由が無い限りは『Crowdfunder』を使用するのが無難です。
一応、選択肢として可能という意味で書かせて頂きました。
自社クラファンのメリット
では、実際に自社クラファンを実施するメリットを考えてみましょう。
販売手数料が圧倒的に安い
まず何と言っても損益に関わる要素で、手数料が圧倒的に安く抑えられます。
購入型クラウドファンディングのプラットフォームでは概ね20%が相場です。
もちろんプラットフォームを利用する場合はプラットフォーム自体の集客力を活用できることや、担当者からアドバイスを受けたり、SNSなどで発信してくれるといったフォローがあります。
逆に言えば、そういった要素も全てまかなえる場合、その分の手数料が引かれずにクラウドファンディングが実施できます。
経営的な観点でみれば圧倒的にこの部分がメリットとなるでしょう。
マーケティングなどに資金を投下できる
手数料が低く抑えられる分だけ、その資金をマーケティングなどに投下することが可能です。
例えばプラットフォーム経由で広告出稿したり、SNSで発信しても、その場限りになってしまうのは事実です。
具体的にいうと、例えばFacebook広告を出稿してもらっても、そのリストは自社で蓄積できません。
長い目で見るとリストの蓄積は自社の資産となりますので、その部分にこだわるのであればメリットといえるでしょう。
審査・規制が基本的に無い
各プラットフォームにはそれぞれ独自の審査や規制があります。
一般的にNGと分かるものは当然ですが、例えば輸入品であれば製造元のメーカーと独占販売契約が締結できているか、などのルールがあります。
また、特に多いのはプロジェクトページで使用している表現(文言)です。
中でもMakuakeは表現の規制がかなり厳しく、例えば「最大」といった表現はNGとなります。
こうしたルールを守っているかの審査も含め、時間が掛かるのも事実。
自社クラファンであれば自社が責任を持てば基本的にルールはないといえるでしょう。
もちろん、顧客にとって不利益になることは避けねばなりませんが、プラットフォームよりはハードル低く実施できます。
自社クラファンのデメリット
では、次に自社クラファンを実施するデメリットを考えてみましょう。
権威性・信憑性に欠ける
自社クラファンの最も大きなデメリットは権威性・信憑性に欠けることです。
審査や規制がない点をメリットで挙げましたが、デメリットでいえば極端な話、支援総額を自由に操作できてしまいます。
そのプロジェクトが本当に成功しているのか、その金額集まっているのか、誰にも分かりません。
また、どうしてもクラウドファンディングは支援者が先に支払いをする必要性があることから、「本当に届くのか」「本当に完成するのか」といった不安もプラットフォームより大きくなります。
他にも、すでに販売されている商品なのに自社ECでわざわざ予約販売的な売り方をするために使われることも事実上可能です。
いかに透明性あるいは限定性を高めることができるか。
これがポイントになるのではないでしょうか。
キャンペーンの役割か
クラウドファンディングのプラットフォームを利用する最も大きなメリットは、そのプラットフォームで成功したという実績作り、言い換えれば「権威付け」だと考えています。
確かに手数料は高いですが、その手数料と引き替えに「〇〇でクラウドファンディングして成功しました!」という実績ができれば今後の展開にも活用できます。
また、メディアも食いつきやすいので、そういった観点からもプラットフォームを活用する起案者が多いように感じます。
たとえ自社で実施したクラファンで「これだけ集まりました!」と言ったところで消費者からすれば「?」です。
とはいえ、期間限定のキャンペーン的な役割で自社クラファンを活用するのは大いにあり得ます。
クラウドファンディングはその性質上、「お祭り感」を演出できます。
がちがちの新商品より、例えばクラウドファンディングのプラットフォームで成功した商品のニューカラーを販売するのに自社クラファンを活用する、といった選択肢は考えられます。
商品やブランドのフェーズに合わせて使い分けできると面白いですね。