呉 達人
Shopify新規構築をはじめ、自社EC・Amazon・楽天市場・クラウドファンディングを活用した総合的なEC運営支援に取り組んでいます。
日本時間2025年12月11日未明にShopifyから膨大な量のアップデートやリリース情報が発表されました。
数多くの新機能リリースや従来機能のアップデート情報満載ですが、その中でも日本国内のマーチャント(EC運営事業者)様が注目すべきトピックスを厳選してまとめていきたいと思います。
なお、すべての情報を確認したい方はこちらをご覧ください。
目次
Shopify Editionsとは?

「Shopify Editions」とはShopifyのリリースイベント、『大型アップデート集』のようなものです。
ここ数年、Shopify Editionsは夏と冬の年2回、発表されています。
他にも「Shopify UNITE」というリアル開催の交流イベントがあり、その中でShopifyからの最新情報が発表されるケースもあります。
Shopifyをご利用のマーチャント様であれば、ひとまず「Shopify Editions」と「Shopify UNITE」は「Shopifyから何か大きな発表があるイベント」と認識いただければ問題ないでしょう。
Shopify Editions Winter’2026注目トピックス
それでは早速、今回のShopify Editionsで発表された内容から日本のマーチャントが注目すべきトピックスをまとめていきます。
ピックアップした内容は弊社なりの見解・コメントも書いていきたいと思います。
とにかくAI!
まず最初にお伝えしたい点が、今回のリリースはShopify管理画面で利用できる『Sidekick』というAIのアップデートが非常に目立っています。
EC業界に限らずビジネスシーンから日常生活までAIが普及してきています。
Shopifyも以前からAIの導入やECでの活用を推進してきましたが、今回は特に「一つの集大成」といえるような情報が盛りだくさんです。
※もちろん今後も多くのアップデートやリリースがあるでしょう
それでは、注目すべきポイントをピックアップしていきましょう。
【重要】Shopify Agentic Storefronts

まずは私が最も注目した重要ポイントがこちら。
AIの会話で商品が表示&購入まで完結する時代が目の前まで来ました!
Shopifyで運営するストアがChatGPT、Perplexity、Microsoft CopilotなどのAIプラットフォーム上で瞬時に、正確に見つけられるようになるそうです。
他のプラットフォームも近日中に追加予定とのこと。
現時点でも少しずつAI経由(参照元がChatGPTなど)の注文がShopifyレポートに計測されつつありますが、UIも含めてより一層、この流れは増加しそうですね。
これだけでもShopifyでストア運営する大きな理由・意義になってきそうです。
Sidekick Pulse
Sidekick Pulse(パルス)を利用すると、運営しているストアとShopifyが持つ膨大なデータを積極的に調査してくれます。
そのデータに基づいて、ストア独自の提案を生成してくれるそうです。
Sidekickとの会話の中で活用できるようですが、利用するには「Shopify Network Intelligence」を有効にする必要があります。
Shopify Network Intelligenceとは

Shopify Network IntelligenceはShopifyを利用するストア(マーチャント)のデータをShopifyが保有するものです。
有効になっているストアの情報はShopify内部に蓄積されます。
そのデータを活用して分析に役立てることができるため、Shopifyは一種のプラットフォームとしての役割も果たしてくれます。
もちろん他ストアの情報(売上やアクセス数など)を知ることはできませんが、トレンドや具体的な施策案などのアウトプットに役立ちそうですね。
「持ちつ持たれつ」という感じでしょうか。
Sidekickでアプリ生成

今回のアップデートで、なんとSidekickとの会話からストア独自のアプリまで生成できるようになったそうです!
活用例として下記が記載されていました。
・顧客を検索、オリジナルの割引を作成
・注文頻度に基づき再注文が必要な製品を推奨
・商品の割引チェックアウトリンクとQRコード生成
など
Shopify標準機能も充実していますが、そこから更にアイデア次第でストア独自にカスタマイズできる選択肢が広がりそうです!
※現時点ではGrow、Advanced、Plusプランのみ利用可能とのこと
SidekickでFlow作成

Shopify Flowは自動化したい処理を設定できる機能です。
Sidekickでワークフローを記述すると、Flowアプリ内に構築してくれるそうです!
ただし、当社Shopifyアカウントで操作してみたところ、現時点では実装されていないようでした。
Shopifyのアップデートはアカウントごとに順次実装されるケースや、発表から実装までにタイムラグがあることも、よくあります。

オリジナルレポート作成もSidekickで

ストア分析機能から「新しい分析」を開くと、自分が知りたい指標のオリジナルレポートが作成できます。
この作成画面にもSidekickのプロンプト入力枠が設置されました!
ストア分析には膨大な指標やセグメントがあります。
慣れないと知りたいデータを集めるのも少し苦労しますが、今回のアップデートで効率的な情報収集ができますね。
ストア運営に重要なPDCAサイクルの運用もスピードアップできそうです!
顧客セグメント作成もSidekickで
特定の条件を満たすお客様をグルーピングできるのが「顧客セグメント」。
このグルーピングする条件もSidekickに入力することで作成できるようになりました!
「顧客管理」→「顧客セグメント」から「セグメントを作成する」を開くと、Sidekick入力枠が表示されます。
特定の条件を満たすお客様に向けたメールマガジンの配信を中心とした施策がスムーズにできそうですね。

Sidekickでテーマ編集も可能に

ストアを編集する「テーマカスタマイズ」画面においてもSidekickが登場
希望する具体的なデザインを伝えると、テーマへ即座に反映されるそうです!
※現時点では実装されていないかもしれません
Shopify SimGym で公開前のABテスト

人間のようなペルソナを持つAIの買い物客がストアにアクセスして、購買行動をシミュレーションできるようになるようです!
これにより、いわゆるABテストが実際の公開環境ではなく、公開前の環境で実施できるのは広告費の削減やクリエイティブ制作の効率化につながりそうです。
以下のような活用方法が考えられますね。
・発売(リニューアル)前のシュミレーション
・結果を活用したストアの改善
Shopifyメールは”Shopify Messaging”へ

Shopify標準機能のメルマガ配信ツールShopify Mailが『Shopify Messaging』に改名されました。
既存のメール配信機能をはじめ、SMS(ショートメッセージサービス)への配信もできるようになりました。
が、残念ながら日本ではまだ利用できないようです。
SMSマーケティングはアメリカをはじめ海外では割と一般的なようですが、日本ではログイン時のワンタイムコードの通知など、機械的な利用が主流のためかもしれませんね。
※AppStoreのページにも「メールとSMSでお客様にリーチできます」と記載ありますが、ヘルプページには対象国に入っていません
Shopify Bundlesオプションの組み合わせアップデート

Shopify Bundles(バンドル)は個別に登録している商品のセット販売ができる機能です。
例えばシャンプーとコンディショナーそれぞれ登録したものセット販売することで、セット用の在庫管理が不要になります。
今回のアップデートでは、例えば
赤いTシャツ(S M Lサイズ)
青いTシャツ(S M Lサイズ)
黒いTシャツ(S M Lサイズ)
この3商品をセット販売する場合に、各Tシャツごとにサイズ選択する必要がありました。
3つとも同じサイズを選択したい場合、お客様はそれぞれ選択する操作をしていましたが、これがまとめて選択できるようになるそうです!
細かいアップデートではありますが、セット販売を積極的に実施しているストアにとっては利便性が向上しそうですね。
※今後数週間以内に利用できるようになるとのことです
すぐに実践で活用できるものから
今回の内容はもちろん、ほんの一部です。
とはいえ、すべてをくまなくチェックするのは負担も大きいです。また、すぐに実践で活用できるものと、そうでないものもあります。
そういった意味で、まずはストア分析や顧客セグメント作成といった分析・マーケティング関係の施策をサポートしてもらうのに活用するのは、すぐできそうですね。
また、ChatGPTなど他のAIプラットフォームで商品を探すユーザーが、Shopify運営ストアの情報をダイレクトに表示され、かつその場で決済まで済むのは本当に大きなインパクトです。
「Shopifyを使ってるか否か」でAI時代のEC業界を生き残る、成長させていく、大きなポイントになりそうです。
今後もShopifyに関する情報は当社X(旧Twitter)アカウントや、代表である私(呉)のアカウントで発信してまいります!
記事に掲載の内容および画面等は記事公開時点の内容です。特にShopifyは進化が早く、UIや表現の変更もよくありますので、予めご了承ください。
